1年生と3年生は「Scratch」(米マサチューセッツ工科大学メディアラボが開発した子供向けプログラミング環境)を利用していた。
このうち1年生は1人1台のiPadで、Scratchをより低年齢向けにシンプル化した「Scratch Jr.」を使用。画面中に配置したキャラクターに対して「右に動け」とか「画面端にきたら引き返せ」と言った命令をピース単位で組み合わせていく方式で、キーボードでの入力作業が殆ど必要ないのが特徴だ。これを繰り返し、物語を作って発表までを90分で行う。
授業では最初に班を作り、話し合いながら物語を作る。教員は物語づくりに役立ちそうな「命令」の使い方をいくつか紹介し、個々の児童が自分のiPadでそれを試しながらストーリーを作っていった。教員は多くの時間を児童達への個別アドバイスや、工夫をしている児童の作品紹介に費やし、全体に対して一方的に教えるシーンはほとんどない。
児童は途中の休み時間も忘れて手元のiPadでトライアンドエラーを繰り返し、授業の最後には作品発表会まで行えていたのには驚いた。
3年生はさらにハイレベル。「ChromeBook」というノート型コンピュータでScratchを使用し、ゲームを作るという内容だ。ChromeBookを使うのは、キーボードを使ってより細かい命令を作り込むため。実際に製作する様子を見ると、Scratch Jrより命令のピースや組合せがより細くなっていることがわかる。
授業は冒頭20分ほどをかけてゲームの設計書作りからスタート。ここでも教員の役割は児童への個々のアドバイスが主軸だが、設計書を見てScratchで実現可能かの判定を早い段階で行い、適宜アドバイスをしていた。そのあと約30分で実際のゲーム製作を行う。最後の30分は他の児童が作ったゲームをプレイし、工夫した内容を伝えたり相互評価をするような取組みも行っていた。
この学年の児童達は入学した時からiPadなどの機器を使うことに慣れていることもあってか、かなりハイレベルな所まで作り込みをしている印象だった。
CNET Japanの記事を毎朝メールでまとめ読み(無料)