パナソニックは、2020年の「東京オリンピック・パラリンピック」に向け、社内に「東京オリンピック・パラリンピック推進本部」を設立。東京・有明のパナソニックセンター内に、BtoB向けショールームを構える。
ショールーム内には、10カ国語に対応予定の音声自動翻訳機から、専用カード1枚でホテルやタクシーの支払いが可能になるワンカードソリューションまで、未来の街が並ぶ。2020年の街並みをパナソニックはどう考え、作り上げようとしているのか。また、どうやって実現していくのか。パナソニックの東京オリンピック・パラリンピック推進本部の事業開発部事業推進課長である田中克洋氏に聞いた。
2020年に開催される「東京オリンピック・パラリンピック」を見据え、訪日外国人の方も安全かつストレスなく、日本を楽しめる街づくりを想定したBtoB向けショールームになります。役割は大きく2つあります。1つ目は、当社の考えや商材のアイデアを具体的にご提案する場所であること。2つ目は、協業する企業やステークホルダーの方にご意見をお聞きしながら、技術やサービスの質をさらに良いものにしていくためのきっかけの場としての役割です。
パナソニックは家電メーカーのイメージが強いと思いますが、BtoB、BtoGビジネスも手掛けています。この分野では、お客様となる外部の企業の方と一緒になって課題を解決していくケースが多くあります。ここで展示しているものも、そうした意味合いも含め、さまざまな方に見ていただくことで、よりよい形にしていきたいと考えています。
また、こちらに展示しているものは、個人認証、決済等の機能をカード1つで提供するコンセプトや暑さ対策など、他社と一緒に作り上げていくものが多くあります。他社の技術や商材を自社のそれとどのように組合せていくのがよいのか、さらにブラッシュアップできるような技術があるのではないのか、そうした議論をしやすくするためにもこうした形で展示しています。
音声自動翻訳機やデジタルサイネージなどの「コミュニケーション」、個人認証やホテルのルームキーの新たな形を提案する「Wonder Japan Pass」、移動手段を提案する「トランスポーテーション」、暑さ対策などの街づくりを支援する「コミュニティ」、画像認識技術により街を見守る「セキュリティ」と5つのジャンルで、訪日外国人の方を“おもてなし”する「おもてなしイノベーション」と私たちは呼んでいます。
ショールーム内では、それら5つのジャンルに合った新しいツールやシステムを実際に体験いただくことができます。
そう見えるように作っていますから(笑)。基礎となる技術はある程度できていますが、実際の使用を考えると解決しなければならない課題はまだ多いですね。ただ、誰かが実現したいことのコンセプトを掲げないと、事業化に向けた具体的な検討は加速されません。
パナソニックはオリンピック、パラリンピックのワールドワイドパートナーとして、他社よりも少し早目に活動を始めました。それは私たちにとって大きなメリットですから、コンセプトをいち早く打ち出すため、2月に展示会を実施し、まだ完成形ではないけれど、「パナソニックは2020年とそれ以降に向けてこういうことをやりたい」というメッセージを伝えることができました。
いろいろと課題はありますが、展示していることのほとんどが実現できると思います。開発段階はまちまちですので、2020年を待たずに商品化するものもあります。できるだけ早期に商品化できるよう関係部署が一丸となって取組んでいるところです。
ただ、Wonder Japan Passは、関係者も多く、全く新しいコンセプトですので、一朝一夕にできるとは思っていません。国を含めた形での検討が必要な面があります。
Wonder Japan Passが実現すれば、外国人旅行者の方に大きなメリットを与えられます。今でも駅の券売機で戸惑われている方が多いですし、日本語が多い案内版も同様です。そうしたストレスをできるだけ解消し、快適に過ごしていただくにはどうしたらいいのか、そのソリューションを考えています。
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