「キラキラ女子」「キラキラクラスタ」という言葉を聞いたことがあるだろうか。プライベートも仕事も充実している、お洒落で容姿端麗なだけでなく、頭も良く仕事もできる女性のことだ。そのようなキラキラ女子たちのキラキラしたツイートに憧れている人は多い。
セレブ系のいわゆる“キラキラツイート”で知られていた26才の「ばびろんまつこ」という女性が、ブランド品詐欺で逮捕されたと話題となった。彼女は、頻繁な海外旅行や高級レストランでの食事、ブランドファッションなどの豪華な暮らしぶりをアピール。きらびやかな生活ぶりや機知に富んだ会話でTwitter上で人気があった。そんな彼女が、偽ブランド品をネットオークションで正規品と偽って出品し逮捕されてしまったというのだ。自供によると、これまでに約400万円の売上があったという。
まだ逮捕された女性と「ばびろんまつこ」氏が完全に同一人物と確定したわけではないが、プロフィールや写真など共通点が多いこと、逮捕された日でツイートが止まっていることなどから、おそらく同一人物と推定されている。
彼女は主にTwitterとAsk.fmを使い、セレブな自分をアピールし続けていた。ところが後の検証によって、写り込んでいるブランドの一部が安物だったり、偽物だったことが分かっている。あまりに堂々と投稿しており、セレブな投稿ばかりだったため、他人からは偽物とは見られず、「キラキラクラスタの中でも本物のセレブ」と目されていたのだ。
なぜ彼女はそのような行動に走ったのだろうか。多くのティーンも陥るSNSに潜む罠と心理、注意すべきことについて考えていこう。
「マウンティング」という言葉を聞いたことがあるだろうか。マウンティングとは元々猿の世界で行われていることで、上に載った猿の方が下の猿よりも立場が強いとされる。ドラマ『ファーストクラス』でも見られて話題となった。若い女性達には、マウンティングによって自分の立場の方が上だと示したい傾向が強い。このマウンティングが、最近SNSで行われているのだ。
例えば前述のばびろんまつこ氏は、レストランなどにチェックインする際に食べログのリンクを添付していた。それを見ると、「4.3」などユーザー評価が高く、ユーザー平均単価が2万円前後など、ハイクラスの店であることが分かるようになっていた。ただの店ではなく、高級店であることがポイントだったというわけだ。そういう目で見ると、写り込んだ手についた指輪がブランド品だったりなど、写真もフォロワーに見せるために撮っていたと想像できる。
実際、SNSでマウンティングする例として、「『星一つの店です』と高級店ぶりをアピール」「(直接彼氏の話をするのではなく)彼氏の手が写る写真をアップしてリア充ぶりを演出する」などの話を聞いたことがある。
20〜30代女性を対象としたトレンド総研の「女性の『SNSでの自己演出』に関する意識・実態調査」(2014年12月)によると、71%が「毎日閲覧もしくは投稿している」、14%が「週に4~5日閲覧もしくは投稿している」と、85%がほぼ毎日SNSを投稿・閲覧している。
そのうち「普段の生活とSNS上の自分では、キャラクターに違いはあるか」という問いに対し、26%と3人に1人が「違いがある」と答えている。さらに50%が、「SNS上の自分を『よく見せたい』と思うことがある」と回答している。「おしゃれでセンスがよい人というイメージに見せたい」「リア充だと思われたい」「多少いい暮らしをしていると見栄を張りたい」など、実際の自分以上のイメージを持たれたいと考える女性が多いことが分かった。
当連載でも、10代の「盛った」写真で自己演出したがる話をご紹介したことがある。10代はSNS世代。つまり、始終他人の目を意識しながら、他人の評価の中で暮らしている。他人にどう思われるかで自分の価値が決まるため、“自己演出”が当たり前となってしまっているのだ。
“Facebookはリア充演出ツール”と言われることがある。多くの人がファストフードなどの日常は書かず、高級レストランなどの非日常的な出来事、つまり自分がよく見える投稿ばかり書くからだ。しかしそのことを分からず、すべてを本気でとらえてしまうと、要らない劣等感を感じたり、張り合うために自分を偽るようになってしまうのだ。
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