エンターテインメント以上にVRによる活性化が期待されるのが広告分野であり、FacebookをはじめYouTubeでもVRコンテンツを広告でマネタイズにつなげようとする動きを始めている。
今後日本で求められる広告におけるVR活用について、電通の足立光氏は、JTBのクルーズツアーなどのVRコンテンツ制作事例を紹介。体験した人の反応は想像以上で、例えばホラー映画の劇場例で作ったPR用のVRコンテンツはあまりの怖さにHMDを放り投げる人までいたという。また、アイドル超特急のコンテンツは“推しメン”が視点を合せて歌ってくれるというだけで、20分もあるコンテンツを延々と見続けるファンが続出。
こうしたコンテンツとしてのVRの可能性は実感するものの、広告というマス向けになると、視聴機会が身近でない、個人でしか体験できない、イベントのみの一過性といった課題が出てくる。
「今後はカラオケや漫画喫茶など気軽に体験できるコンタクトポイントを拡大し、コンテンツ制作のインフラ整備や表現ルールも合せて必要になるだろう」としており、特に女性に支持されることが鍵になるとした。そのためのTELEPODSというVR体験用のポッド型シートも開発しており、そうした新しい開発に取り組むためにはマネタイズの仕組みは必須であると語った。
実際のVR市場への投資状況については、グロービス・キャピタル・パートナーズの高宮慎一氏とANRIの佐俣アンリ氏が、やや異なる意見を述べた。
高宮氏は投資の際にクリエイティビティをどうビジネスに活かすかを見ており、カヤックや動画像制作クラウドソーシングのViibar、写真素材販売のPIXTAらに投資している。ポイントは投資対象がシリーズA以降であり、それ以前に投資するANRIとの違いがそこにあると説明する。佐俣氏はシード期が対象でハコスコに投資したのも創設から3カ月頃と早かったが、日本のVR市場で資金調達しようとするのは3~4社ほどだと話す。
投資の基準は、3年後にようやく普通の人達に理解されるもの。1年後にできるものは巨大資本にあっという間にやられるので興味はない、という点で両者は一致している。高宮氏は「スモールスケールでいいからユーザーに刺さるもの」と言い、佐俣氏は「確率は1%だけど世界では初めてのもの」だと言う。いずれにしても、VCは相談に乗るのも仕事なのでもっと事例を紹介してほしいとしている。
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