日々、ネットを介したさまざまな事件が新聞やテレビを賑わしている。その多くは、スマートフォンやLINEなどのソーシャルメディアが原因とされていることが多い。
確かに、スマホの普及と低年齢化により、さまざまな問題が起きている。今回は、スマホでトラブルが起きる理由と、子どもがスマホを使いこなすために保護者ができることについてご紹介する。
そもそも、なぜスマホを持つことで子どもに問題が起きるのだろうか。問題点を整理してみたい。
スマホはインターネットに接続しやすくパケット定額制に入っていることも多いため、さまざまなサイトにアクセスしたり、利用時間が長くなったりする傾向にある。また、SNSと親和性が高いため、SNSの利用が増える傾向にある。スマホの問題点は主にこの2つから派生している。さらに、スマホは写真や動画を撮ってすぐにアップロードできることも問題を大きくしている。
総務省情報通信政策研究所の「高校生のスマートフォン・アプリ利用とネット依存傾向に関する調査報告書」(平成26年7月)によると、SNSなどによってスマホの利用時間が長くなると、睡眠時間や勉強時間の減少などにつながる傾向にあることが分かっている。当然、体調不良や学力低下につながりやすいという問題がある。同時に、安易にSNSを利用することで、出会い系被害に遭ったり、個人情報漏洩につながったりすることもあるのだ。
つまり、人生経験に乏しく判断力やセルフコントロール力などを形成途中である子どもが、いきなり多機能なスマホを自由に使えるようになったために問題が起きているのだ。大人でもうまく使いこなせない人もいるスマホを子どもに渡すなら、子どもがうまく使いこなすための手助けが必要だ。
スマホは、あらゆるサイトに自由にアクセスできてしまうため、子どもが違法・有害サイトなどにアクセスしないよう、仕組みで守る必要がある。たとえば、無料のフィルタリングサービスやペアレンタルコントロール機能などを利用すれば可能だ。
携帯電話・スマートフォンを持つ子どもを対象にしたデジタルアーツの「未成年者と保護者のスマートフォンやネットの利活用における意識調査について」(2015年1月)によると、フィルタリング利用率は小学生全体で54.7%、中学生全体で50.4%、高校生全体では40.9%となっている。フィルタリングの必要性についての啓発活動が成功しているのか若干増加傾向にあるものの、小学生の低さはとても気になる。
「青少年が安全に安心してインターネットを利用できる環境の整備等に関する法律」をご存じだろうか。これにより携帯電話事業者は、18未満の青少年が携帯電話・スマートフォンの契約をする場合、フィルタリングサービスを提供することを義務付けられている(第17条1項)。ただし、保護者からフィルタリングサービスを不要とする申出があれば解除できてしまう。保護者も、青少年に使用させる携帯電話の契約時に、使用者が青少年であることを携帯電話事業者に申告する義務がある(第17条2項)。
フィルタリングサービスをかけない理由について、「子どもが『LINEが使いたいからフィルタリングはとってほしい』と言ったから」「子どもを信頼しているから」という保護者がいる。誤解している人も多いが、LINEは2015年3月にEMA(モバイルコンテンツ審査・運用監視機構)で認定サイトとなっている。
EMAとは、青少年の保護と健全な育成を目的とし、ウェブサイトやアプリの運用管理体制の審査・認定および啓発・教育活動をする第三者機関であり、認定を受けたウェブサイトやアプリは、フィルタリングの制限から解除される。つまりLINEは、フィルタリングサービスに加入していても利用できるようになっているのだ。LINEを利用したいからフィルタリングサービスを外すのは意味がないというわけだ。
フィルタリングサービスは、子どもが間違って違法・有害サイトなどにアクセスすることから守ってくれるサービスだ。ネット利用を妨げる目的のものではないことを子どもに理解させ、特に小学生などの低年齢の子どもが利用する端末には必ずフィルタリングサービスをかけるようにしよう。
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