「子どもにとってスマホは害悪」という捉えられ方をすることは多い。確かに、低年齢すぎる子どもにスマホを持たせる必要はないし、ある程度判断力が身についてから持たせることには賛成だ。しかし、最近は優れた教育アプリも多数登場しており、通信教育でもタブレット端末が利用されている。学校でテーマを決めて、「インターネットで検索する」ことが宿題として出されることも多い。
スマホ自体を禁じても、子どもに1人1台買い与えられていることの多いゲーム機などでもインターネットは利用可能だ。友達に借りて利用している例も多いと聞く。単純に禁じるよりも、早めにインターネットに潜む危険と正しい使い方を教えるべきではないだろうか。
文部科学省国立教育政策研究所の「平成25年版全国学力・学習状況調査報告書 クロス集計」(平成25年12月)では、「普段(月~金曜日)、1日あたりどれくらいの時間、インターネット(携帯電話やスマートフォンを使う場合も含む)をしますか」という質問をし、利用時間の長さと正答率の相関関係について調べている。それによると、一番正答率が高かったのは「1時間より少ない」と回答した生徒たちだった。「全くしない」生徒は、「1時間以上、2時間より少ない」と回答した生徒よりも正答率が低かったのだ。
スマホを全く利用しない生徒は、おそらく保護者に強制的に禁止されているだけであり、自ら止めているわけではないのだろう。利用時間が1時間未満の生徒は、自らの意志で利用を短時間に止めている可能性がある。それだけの自制心があれば、自ら学習もできるかもしれない。ただスマホを利用させないだけでは、やるべきことをするようにはならない。子どもにはセルフコントロール力こそ身に付けさせるべきではないか。
幼い頃は甘いものばかり食べたがったり、好きなテレビを延々と見たがったりするものだ。しかし、それを放っておく保護者はまずいないだろう。ルールで制限したり、強制的に遮断したり、取り上げたりして対処しているはずだ。
スマホも例外ではない。スマホは、ゲームもSNSも動画も見られる魅力的な端末だ。これを使えば、四六時中友達とつながることもできるし、世界中の人に向けて発信もできる。自由に動画を楽しんだり、ゲームをしたりすることもできる。しかし、だからこそ子どもに自分が本来しなければならないことを自覚し、スマホを長時間利用しすぎることの弊害を理解させる必要があるのだ。
端末に振り回されるのではなく、使いこなす人間に育てよう。そのためには、フィルタリングサービスやペアレンタルコントロール機能などの仕組みも利用するべきだし、使いこなすためのガイドラインとなるルールも必要だ。使いこなすことは大人でも難しい。禁じることは簡単だが、これだけスマホやインターネットが普及した今、子どももいつかは利用するだろう。持たせると決めたら、できる限りの仕組みとルール、見守りによって、子どもが使いこなすための手助けをしよう。
ルールにはたとえば、
などが考えられる。
その他、家庭ごとに話し合ってルールを決めることが大切だ。ぜひ参考にして、家族でよりよい使い方を模索してほしい。
高橋暁子
ITジャーナリスト。書籍、雑誌、Webメディア等の記事の執筆、企業等のコンサルタント、講演、セミナー等を手がける。SNS等のウェブサービスや、情報リテラシー教育について詳しい。
元小学校教員。
『スマホ×ソーシャルで儲かる会社に変わる本』『Facebook×Twitterで儲かる会社に変わる本』(共に日本実業出版社)他著書多数。
近著は『ソーシャルメディア中毒 つながりに溺れる人たち』(幻冬舎)。
ブログ:http://akiakatsuki.hatenablog.com/
Twitter:@akiakatsuki
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