アジア開発銀行(ADB)が発表した予測によれば、インドの2015年度のGDP成長率は7.8%。中国は7.2%であるから、これを上回ることになる。一方で、多くの日本人は「インド」に対して、交通などのインフラが未整備で、さまざまな面で日本よりも遅れているというイメージを抱いているのではないだろうか。
しかし、インドに9カ月間滞在していた筆者からすると、IT業界においてはモバイルファーストでテクノロジやサービスが発展してきたことなどから、日本にはない、より先進的なサービスも多々見受けられると感じている。
昨今のインドのIT業界、特にスタートアップ界隈でのトレンドの1つに「ハイパーローカルデリバリー」というものがある。地域よりもさらにせまい範囲の店舗から顧客に対して商品を即時配達するサービスのことである。
インドのスタートアップのデータプラットフォームを運営するTracxnによれば、ハイパーローカルデリバリーは、食料雑貨品、レストランの完成した料理、医薬品、多岐にわたるジャンルの商品を扱う総合、企業にサービスを提供するBtoBモデルの5つに大きく分類される。
この市場が勃興期を迎えている。2015年1月から6月までの半年間に、インド国内外のベンチャーキャピタルが地場のハイパーローカルデリバリー企業27社に投資をしており、その総額は1億3500万ドルにのぼる。
また、Eコマースサイトの「Flipkart」や「Snapdeal」、タクシー配車アプリの「Ola Cab」、レストラン検索サービスの「Zomato」、オンライン決済の「Paytm」などが、こぞってこの領域に参入し始めている。
こうしたハイパーローカルデリバリー市場に投資が集まっている背景には、タクシー配車アプリのOla Cabsをはじめとするオンデマンドサービスが浸透したことにより、消費者がモバイルでオンデマンドサービスを利用することに慣れつつあること、賃金格差によりデリバリーコストが非常に安いことなどが挙げられる。
インドのEコマース市場では、企業評価額が150億ドルのFlipkartや50億ドルのSnapdealのようなビッグプレイヤーが誕生しているが、ハイパーローカルデリバリー市場にも同様の企業が生まれると考えられている。
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