パシフィコ横浜で8月26日から開催されているゲーム開発者向けイベント「コンピュータエンターテインメントデベロッパーズカンファレンス2015」(CEDEC 2015)。その初日に「古くて新しい“遊び”の世界 ゲーム実況とゲームイベントをニコニコ超会議・闘会議の事例から」と題し、KADOKAWA・DWANGO 会長室ゲーム戦略グループの伊豫田旭彦(いよだあきひこ)氏がniconicoにおけるゲーム実況の現状やユーザー層、またゲームイベント「闘会議」について講演を行った。
伊豫田氏は、1年前のCEDEC2014でもゲーム実況を取り巻く環境について「『ゲーム実況』時代のゲームプロモーション niconicoの事例から」と題して講演した。冒頭ではその振り返りとして「ゲーム実況が人気なのは、ゲームそのものが人気だから」、「ゲーム動画はゲームを知ったり購入を促す効果はないわけではない」、「ゲームは買い切り型からサービス(運用)型のビジネスモデルに変化」、「ゲームコンテンツは単体だけではなく、コミュニティやプラットフォーム(遊びの場)の設計を考える必要がある」、「ゲーム実況に関するポリシーを明確にしたタイトルは、ユーザーに受け入れられて広がりやすい」といったことを改めて説明した。
ことビジネスモデルのサービス型の流れは1年前からより加速していると付け加えた。また、2014年12月から任天堂の二次創作動画やゲーム実況動画を公認したことに触れ、これ以降、かなりの数が投稿されるようになったという。これは伊豫田氏がゲーム実況者に聞いた話として「お金がほしいというよりも、権利がクリアになったから大手をふるって動画を投稿できる」ということから動画が増えたとしている。
まずは「ニコニコのゲームユーザーはどんな人たちか?」と題し、ゲーム関連動画を見ているゲームユーザー層について、ゲーム番組からアンケートへ誘導する形で約1万1000件の回答をもとに集計したデータが公開された。回答者の男女比はおおむね男性6割で女性が4割。年齢層は女性が大学生(18~22歳)に集中し、男性は21~24歳が多めながら、30代も多いとしている。またゲームを遊ぶ頻度で「ほぼ毎日」と回答したのは、男性が88%で女性が75%という。このことから、ゲームに関する放送を見ているユーザーは「本当にゲーム大好きなヘビーユーザー」としている。
過去1年間に遊んだゲームジャンルについてのデータも公開。基本無料のスマホアプリゲームを筆頭に、携帯型家庭用ゲームと据え置き型家庭用ゲームが続いている。スマホゲームや携帯型は女性が、据え置き型は男性が多く遊ぶ傾向にあるという。ことブラウザゲームも含めて50%以上を示していることから「ニコニコでゲーム動画を見ているユーザーは、特定のゲームをやりこむよりも複数のゲームをバランスよく遊んでいるのではないか」と推察した。ちなみに自作ゲーム(PC向けのフリーゲームなど)やアナログゲームについて、女性の比率が高く3割強もあったことは、伊豫田氏個人の感想として「とてもビックリした」という。
このほか1年以内に一番長く遊んだゲームについては「マインクラフト」や「ポケモン」を筆頭に、「モンスターハンター」や「パズドラ」など人気タイトルが並んでいる。「スタンダードすぎるぐらいに、一般的に売れてて多くの方が遊んでいるタイトルの順番になっている」とし、多少ネットゲームやコミュニケーション重視型のゲームに寄っているところがあるものの変に偏っているわけではなく、日本の平均的なゲーム好きが集まっているとした。
続いては「ゲーム動画や生放送をきっかけに、ゲームを購入あるいはダウンロード(DL)するのか?」について。まずゲーム動画や生放送をきっかけに購入やDLしたことがあると回答したのは39%。そのゲームタイトルについて、まず女性では「Ib」や「青鬼」といった自作ゲームが上位にきており、DLしてすぐに遊べる軽めのタイトルを好む傾向があるという。一方男性を見てみると「GTA5」「龍が如く」「スカイリム」といったコアゲームまで含まれているのも特徴としている。
「あなたはゲームの動画(生放送)を投稿していますか?」という問いでは、約6割がやる気はないとしているものの、裏を返すと約4割近くがやりたいと考えたり、実際に投稿しているという。ゲーム動画がきっかけで買う比率とほぼ同じことから「約4割のユーザーがゲーム動画で心が動く」と推察する。
また前述の青鬼や「霧雨が降る森」といった自作ゲームが人気になり、小説化や映画化した事例に触れ、動画をきっかけにコンテンツとして広まっていくことの効果や可能性はあるとした。
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