(編集部注:米CNETによる新型「iPod touch」のレビューを2回に分けて翻訳して公開します。後編は8月28日に公開しています)
Appleは7月、ほとんど何の前宣伝もなく「iPod touch」の新バージョンをリリースし、「iPhone 6」と同等のハードウェアに内部を一新した。最新のiPod touchは前バージョンよりプロセッサが大幅に高速化し、カメラの機能も向上することになる。前バージョンのリリースは2012年と、かなり前だ。
今回のアップデートで、現行世代のiPhoneや「iPad」とハードウェア面で肩を並べた。これは歓迎すべきアップデートであり、最新のゲームをプレイできるようになるほか、古いハードウェアでは荷が重すぎた最新アプリも使えるようになり、新しいカメラによって、今までよりきれいなスナップ写真を撮れるようになる。しかも、価格は16Gバイトモデルの199ドルからと、「iOS」の手ごろな入門機という位置付けが復活した。iPod touchのOSであるiOSでは、iPhoneやiPad、「Apple TV」と共通の豊富なコンテンツを利用できる(上位モデルは32Gバイト、64Gバイト、128Gバイトとなっており、価格は最上位モデルで399ドル)。
iPod touchは一般的に「電話機能のないiPhone」と認識されているが、Wi-Fi限定でキャリア契約がない代わりに、価格はiPhoneの449~649ドルよりはるかに安い。とはいえ、この新しいiPod touchが現行モデルのiPhoneと混同されることはないだろう。内部は新しくなったが、外まわりは変わっておらず、4インチのスクリーンもまったくそのままだ。GPSもなく、指紋センサの「Touch ID」も、タッチ式決済システムの「Apple Pay」機能もない。何より、現行のiPhoneのような大型4.7インチ画面ではない点が大きい。さらに残念なのは、バッテリ持続時間がかなり短くなったことだ。米CNETのテストでは、2012年モデルに比べて約25%短くなった。
突き詰めていくと、今回のモデルは妥当なスペックアップグレードであり、子ども用のデバイスや2台目のメディアプレーヤーの候補となる優秀なハンドヘルドという位置付けを維持しているが、「iPad mini」(同じアプリをすべて、4倍のスクリーン面積で利用できる)や「Moto G」(同じ基本価格でフルサービス対応の「Android」端末)などが存在することを考えると、ニッチなデバイスという性格が強まっているように思える。
現在、第5世代のiPod touchを持っていて、新型を待ちかねているという人なら、気に入るところは多いだろう。外観はほとんど変わっておらず、解像度1136×640ピクセルの4インチスクリーンはそのままだ。あいかわらず美しいディスプレイで、明瞭な文字と美しい画像が326ppiのピクセル密度で表示される。だが、2015年現在の傾向を考えると、4インチディスプレイはどうしても窮屈に感じてしまう。
新しいiPod touchはAppleの64ビット「A8」チップと、「M8」モーションコプロセッサを採用しているため、モーショントラッキング機能やAppleの「Health」アプリを利用できる。モーションコプロセッサを搭載したことで、フィットネスにいっそう適したデバイスになった。重量88gと、129gのiPhone 6より軽いからだ。ランニングの愛好家には、「Runkeeper」や「Runtastic」といったアプリに必要なGPS接続を利用できない点が残念だろうが、次にトレイルランニングに行くときやジムで走るときには、驚くほど軽量なパートナーになるだろう。
筆者はiPod touchの小ささがどうしても気になってしまう。笑えるほど大きい「Nexus 6」に慣れてしまったからだが、Apple自身もディスプレイ大型化の風潮を渋々ながら受け入れ、iPhone 6では4.7インチへと大型化している。「Apple Music」などのアプリや、「Angry Birds 2」のようなゲームの操作には何の不自由も感じていないが、もっと大画面のデバイスにすっかり慣れきってっているので、小さなガジェットは一歩後退しているように感じられる。だが、万年運動不足のこの身体でも、重い腰を上げてランニングに行く覚悟を決めたときには、この小ささと軽さをありがたいと思える。
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