UPDATE Nokiaは現地時間8月3日、地図事業「HERE」を欧州の自動車メーカーであるAudi、BMW、Daimlerに売却することで合意したと述べた。買収総額は28億ユーロ(約31億ドル)。
大手自動車メーカー3社がHEREの買収で提携したことは、新しい自動車がますますインターネットに接続される中、今後の自動車業界において地図データがいかに重要であるかを物語っている。3社はHEREの技術を得ることで、GoogleやAppleが提供する地図サービスに代わるものを実現できる。また3社は、今回の買収により、シンプルな衛星ナビゲーション形式の経路指示から、次世代のナビゲーションへと移行することができる。つまり、車両はデータを収集して、交通量や駐車などのリアルタイムの最新情報を、他の車両と共有できるようになる。また将来的に、このような非常に正確な最新の地図は、自律走行車が行き先を把握する上で不可欠なものとなる。
Nokiaは2014年に携帯端末事業をMicrosoftに売却した後、3つの部門に事業を縮小した。ネットワーク装置を開発するNokia Networks、新技術の研究開発を行うNokia Technologies、そしてHEREである。Nokiaは最近、競合するAlcatel-Lucentnの買収を発表し、通信装置事業の拡充を図っている。
HEREは、「Android」「iOS」「Windows Phone」向けの地図アプリとして一般向けに提供されているが、この事業の大部分を占めるのは、自動車業界を中心とする他の企業への地図データのライセンス供与だ。調査会社のIHSによると、2014年にはナビゲーションシステムを搭載する自動車が1700万台製造されたという。その車両のすべてに、地図データが確実に提供される必要がある。
HEREは、自動車や携帯端末、路上設置物からのデータをクラウドに収集し、リアルタイムの予測地図サービスを提供する開発途上の技術だ。同事業は、自律走行車の開発でも重要な役割を担うと期待されている。
「今回のコンソーシアムモデルは、業界に多くのメリットをもたらす(中略)HEREのグローバルなプラットフォームを手に入れることで、事実上の業界標準が確立される可能性がある」とIHSのアナリストらは述べた。
HEREは6454人の従業員を抱えており、GoogleとAppleのサービスに代わる世界規模のナビゲーション用地図を提供する2社の企業のうちの1つだ。もう1社はTomTomである。
「この取引で、Nokiaの変革における最新の段階を完了する」と同社最高経営責任者(CEO)を務めるRajeev Suri氏は述べた。「(今後は)計画していたAlcatel-Lucentとの統合に集中する予定だ。それが完了すれば、Nokiaは生まれ変わる」(Suri氏)
規制当局の承認が得られれば、HEREの売却は2016年第1四半期、Alcatel-Lucent買収はその後に完了する見込みだ。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。
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