ソフトバンクの法人向けイベント「SoftBank World 2015」の2日目となる7月31日の講演に、ロボットカー技術で注目を集めるZMP代表取締役の谷口恒氏が登壇。ディー・エヌ・エー(DeNA)と共同で「ロボットタクシー」事業を手がける思いなどを語った。
2001年に設立されたZMPは、もともと谷口氏が1人でロボットの研究開発に取り組む企業であり、当初は家庭用の歩行型ロボットなどを開発・販売していた。2008年からは家庭用ロボットで培った自律移動技術を使って、B2B向けのロボットソリューション事業を主体としたビジネス展開にシフトしている。
同社が得意とするのは自動運転技術である。最近では7月22日に、ソニーモバイルコミュニケーションズと合弁会社「エアロセンス」を立ち上げ、ドローンと画像データ処理技術を組み合わせたソリューションを開発・提供するなど、新たな分野で自動運転に向けた取り組みを進めている。
そうした新たな事例の1つとして示されたのが、機械要素部品大手のTHKと共同で開発を進めている、物流支援ロボット「CarriRo」だ。指定されたエリアを自動で移動し、荷物を運搬する台車ロボットで、台車が作業員の動きについてくる“かるがも機能”を備えているのが特徴だ。
佐川急便やヤマト運輸などの物流企業大手との実証実験では、倍の荷物を同時に運べることから、かるがも機能が女性の配達員に好評を得たとのこと。「『ロボットと働けて楽しい』という評価を得られたのが一番嬉しかった」と谷口氏は振り返った。
ロボット技術を物流に取り入れた理由について、谷口氏は「ECでの買い物が増えても、物流がなくなることはない。それにも関わらず人手不足で、大手の事業者に聞くとキャパシティがオーバーしている」と話す。ECで当日中など短時間での配送を実現するため、都市部に倉庫が集まっており、少子高齢化の進行もあって人手が集まらないことから、ロボットの導入でスマートな職場環境を実現できると谷口氏は考えているようだ。
そしてもう1つ、同社が力を入れて取り組んでいるのが、市販の車を改造した自動運転ロボット「ロボカー」だ。ZMPでは2008年より、毎年新しいロボカーの開発を進めている。5月にはDeNAと自動運転車によるタクシー事業を実現するため、合弁会社「ロボットタクシー」を立ち上げた。
谷口氏によると、自動運転を実現する上で重要となるのが、車自体の位置を把握する自己位置推定技術。そのためロボカーには、GPSだけでなく、周囲の状況を確認するカメラ、そして周囲の障害物を検証するレーザーなどが搭載されており、それらセンシング技術の組み合わせによって、自己位置推定を実現しているのだそうだ。
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