ロボットタクシーで使用する車両は、トヨタ自動車の「エスティマハイブリッド」に決まったと谷口氏は話す。この車にソニーの超高感度カメラセンサを搭載した、独自の「RoboVision」を装着し、その画像をNVIDIA製の画像処理プロセッサでスピーディに解析。さらに車全体を制御する頭脳として、インテルと資本提携して開発した「IZAC」という独自のCPUを搭載することで、自動運転を実現するとしている。
Uberが時価総額6兆円を実現していることから、タクシー事業にはまだ大きな可能性があると話す谷口氏。しかしながら、その実現のためには技術以外にいくつかの壁がある。そのうちの1つが、自動運転車を実現するために必要な規制の緩和だ。この点について、ZMPはすでに愛知県名古屋市で公道での実験も実現していることから、「規制緩和が進んでおり、規制があるから実験できないという言い訳はできない」と谷口氏は指摘する。
そして、もう1つの壁となるのが雇用の問題だ。ロボットがタクシーを運転することで運転手が不要になると、その分タクシー運転手の雇用が奪われてしまうこととなる。これについても谷口氏は異を唱え、将来的にはタクシー事業とロボットタクシー事業は共存し、融合していくのではないかと話した。
その理由は少子高齢化にある。2020~2025年ごろまでは、大都市圏では人口が多くタクシー事業者の経営も十分成り立つが、人口の減少で地方のタクシー事業者の経営は成り立たなくなる可能性が高いという。一方、ロボットタクシー事業は、2020年時点では混雑する都心部での自動運転を実現するのはまだ難しいものの、道が空いている地方であれば自動運転がしやすく、既存のタクシー事業者に代わる形で事業化が実現できると見ている。
さらに2025年以降、つまり今から10年後には、大都市でも人口減少が始まり、全国でタクシー事業者の経営が苦しくなる。その一方で、ロボットタクシーは技術向上が進み、大都市での自動運転が実現できる可能性が高まる。そのため、最終的にはタクシー事業自体がロボットタクシー事業に置き換えられていくのではないかと、谷口氏は考えているようだ。
海外でも先進国などを中心に、日本と同様の問題が生まれつつあることから、日本以外からの引き合いも多いと谷口氏は話す。谷口氏は最初の東京五輪が開催された1964年に生まれていることから、2020年の東京五輪の際には日本がロボットで存在感を高め、世界に輸出できる産業にしていきたいという強い思いがあるという。
「子供の頃、日本は資源がないから輸出して外貨を稼がなければいけないと教科書に書いてあった」と語る谷口氏。しかし、現在はスマートフォンなどを海外から輸入する状況となっていることから、ロボカー事業をインフラとして世界に輸出していきたいと意気込んだ。
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