最後に訪日観光(インバウンドEC)の需要増加について、ワイズ氏は訪日観光がここ数年で前年比30%以上の増加で推移しており、2015年1月から5月までで、すでに前年比45%増加し、年間推定訪日観光客数が1500万人を超えることが見込まれている状況や、訪日観光客による日本国内での支出が前年比43%増加し2兆3000万円に達する見込みである点などを紹介した。
「ホテル、旅行代理店、お土産店など訪日観光客が多く利用する店舗などでは世界中で支持を獲得しているPayPalが大きく貢献できるだろう」と語り、訪日観光客の来日後の情報源としてモバイル端末が最も利用されていることや、PayPalのモバイル決済が203の国と地域で1億6900万人に利用されている実態などを背景に、PayPalが訪日観光客へのリーチに貢献できるとした。
また、“クールジャパン”として日本が世界にアピールしているアニメなどのグッズやコンテンツが購入できる多くの店舗でPayPalが利用できる事例や、PayPalに対する世界的な信用を背景に北海道のルスツリゾートが導入を決定した事例などを紹介。「Tokyo Otaku Modeでは、PayPal決済を導入したところ、全取引の約半数を占めるまでになった。世界の消費者がPayPalを強く信用している証だ」と実績をアピールした。
「PayPalの本業はデジタル決済であり、17年間に渡りデジタル決済だけを追求してきた。PayPalにとって最も重要なのは信用であり、消費者、企業、デベロッパーから得ている信用と信頼がPayPalの価値そのものである」(ワイズ氏)。
なおワイズ氏は、今回発表した分社化による事業やサービスへの影響について「分社化による日本市場への影響はない。しかし、eBay傘下を離れたことによって、これまでeBayを競合指定していたためにビジネスが進めにくかった国内外の大手ECサービス事業者ともビジネスの機会を生み出すことができるだろう」とコメント。
分社化の背景を「PayPalは他のマーケットプレイスと仕事がしやすくなるだろうし、eBayもPayPalとの関係で生じていたやりにくさが解消するはずで、お互いにメリットがある。Eコマースやモバイル決済の市場が急速に拡大する中で、eBayとPayPalが互いに独立して事業を展開したほうが戦略的に良いのではないかと考え、分社化を決定した」と説明した。
モバイル決済の領域は「Apple Pay」を展開するApple、「Android Pay」を展開するGoogleなど、対象デバイスを絞ったユーザーの囲い込みと独自の経済圏の構築に積極的だ。こうした動きに対してワイズ氏は「利用する場所や端末、通信キャリアを意識しないでグローバルで利用できるのがPayPalの強みだ」とPayPalが持つオープンプラットフォームとしての優位性を強調した。
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