2020年に開催される東京オリンピックがもたらす日本全国の経済波及効果は、少なくとも数兆円と言われている。過去を振り返っても、オリンピックとテクノロジの発展は密接な関係にある。世界的にスマートフォンがあたりまえに使われるようになった今、テクノロジを活用したさまざまな取り組みが、2020年をターゲットに進んでいる。
果たして、生活、働き方、モノづくりなど、各産業や業界はどのようにパラダイムシフトしていくのか。今回は「交通」の視点から、ハイヤー・タクシー配車サービス「Uber」を提供するUber Japan代表の高橋正巳氏に、Uberが社会に与える価値や、未来の交通の形について聞いた。
ご存知の通り、Uberではまずハイヤーを配車するサービスを開始し、2014年の8月からタクシーの配車も始めました。我々は単なる台数ではなく待ち時間を重視しており、配車時間はちょうど7分位のところまで下がってきています。需要は引き続き多く、どんどん新規ユーザーにご利用いただいている状況なので、データを分析しながら供給も調整しているところですね。
(ソフトローンチした2013年11月から)1年半が経って、認知度も随分上がったと思います。ただ、米国に比べるとまだまだ低いのかなと思います。少しずつ、弊社だけでなくスマホを使ったオンデマンドサービスやO2Oのサービスも増え始めているので、いろいろな事業領域でそういった新しいサービスが生まれることは、日本全体にとって喜ばしいことだと思います。
我々はタクシー会社でもハイヤー会社でもなく、リアルタイムに需要と供給をマッチングするプラットフォームです。その国や地域のマーケット事情を考慮して、さまざまな機能やサービスを搭載し、リアルタイムに目的のものとユーザーをつなぐことが本質的な部分です。その意義や価値をもっと時間をかけて説明したり、使っていただくということを、より多くの方にしていかないといけないと改めて感じています。
単なる配車だけだと非常に付加価値は小さいと思います。特に都心は台数が走っていますので、(アプリで)呼んでいる間に空車が来るからいいじゃんという意識をお持ちの方もいると思います。いまは平均7分ですが、そこをいかに「待ってもいいや」と思ってもらえるようにするかを考えないといけません。
そこで重要になるのが、Uberの評価システムです。これによって自然とクオリティがコントロールされ、言い方は悪いですが、道を全然知らない、車内の匂いが気になるといった“ハズレ”の運転手が来ることがありません。もし問題があったドライバーがいれば、そのタクシー会社に連絡して質の改善を図ります。そういった取り組みによって、道端で流しのタクシーを拾うのとは違った体験を提供することが可能です。
現在は、やはりハイヤーのほうがリッチな体験ができるというところで、リピートされる方は多いですね。タクシーについては、運転手が空車の状態の時にオンラインになるのですが、もう少し高い視点で見ると、需要がない時にオンラインになるということです。なので、タクシーの流しに需要がない時はUberでも需要がないので、なかなか需給のマッチングが図りにくいというのは正直あります。
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