スマートホームには基盤が必要だ。Googleはその基盤を築く仕事を引き受けたいと考えている。そのことは、同社がモノのインターネット(Internet of Things:IoT)向けのOS「Brillo」を発表したGoogle I/O 2015で、十分に明らかになった。
「Android M」に直接組み込まれ、Androidのコードの基礎レイヤから生まれたBrilloの狙いは、Android端末の電力をそれほど消費することなく、端末上でスマートホームの制御機能を統合することだ。GoogleはBrilloによって、Androidを正当なスマートホームプラットフォームとして位置づけようとしている。開発者が構築作業を開始する際の基盤となる統一されたルールとプロトコルを備えたプラットフォームだ。
それは、Appleが「HomeKit」で成し遂げようとしていることによく似ているように思える。HomeKitは、同社が2014年に発表した「iOS」ベースのスマートホームフレームワークだ。
BrilloとHomeKitはいずれも、スマートデバイスのスマートホーム体験を中心に据えることを目指している。成功するかどうかは、開発者とサードパーティーメーカーがそれらのプラットフォームをどう利用するかによってほぼ決まるだろう。そのため、AppleもGoogleも、デバイスに互換性認証の取得を義務づけている。HomeKitとの互換性については「MFi」認証を受ける必要がある。Googleの場合は、「Weave」の認証が必要だ。Weaveはスマートフォン、デバイス、クラウド間で共通のコードの作成を目指すGoogleの新しいIoTソフトウェアである。
消費者にとっての最終的な結果も、同じようなものになるだろう。たとえば、両プロトコルともガジェットの音声制御を約束しており、いずれも複数の端末をグループ化して、より基本的な部屋ごとのコネクテッドホームコントロールが可能になるはずだ。
さらに高度な端末固有の設定は、従来どおりそれぞれの端末の専用アプリで行うようになる可能性が高いが、そういった線引きについては、今のところあまりはっきりしていない。「iOS 9」で専用のHomeKitアプリが登場するとのうわさもあるが、本当に登場するとしても、そのアプリでどれだけ深い部分まで制御できるかについては、今後の成り行きを見守るしかないだろう。Googleに関しては、Brilloでフットプリントを最小限に抑えることを重視しているため、フロントエンドに専用アプリが登場する可能性は低い。しかし、これから、Brilloの登場が予測される2015年第3四半期までの間に、それが変わる可能性もある。
両プラットフォームがハブ中心になるのだとしたら、その程度についても今後の成り行きを見守るしかない。複数の報道によると、HomeKitで自宅の外から音声命令で端末を制御するには、「Apple TV」が必要になるという。Googleについては、同社が2014年に32億ドルで買収した「Nest Learning Thermostat」を中心に据えるのが妥当と思える。もちろん、AppleはApple TVが、GoogleはNestが売れることを望んでいるが、両社が販売促進のために、それぞれのハブをスマートホームの野望にどの程度組み込むのかは、現時点では不明だ。
また、いずれのプラットフォームでも、ユーザーがそれを利用するために端末をアップデートすることが肝要である。これに関してはAppleの方が明らかに有利かもしれない。iOSはこれまで、断片化の進むAndroidの世界よりも、アップデートの採用がはるかに早いからだ。
さらに明白なAppleの強みとして考えられるのは、HomeKitは2014年から開発が進んでおり、開発者は一足先に同プラットフォームへの取り組みを開始しているという点だろう。とはいえ、ロールアウトは予想より遅れており、報道によると、Appleの想定より困難な作業になっているという。それは、Googleにとってのチャンス(同社が開発者とともにBrilloとWeaveを2015年中に完成させることができれば)かもしれないが、その作業に伴う重大性も浮き彫りにしている。スマートホームを支え続けるのは、極めて重大な仕事だ。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。
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