では5月19日に、2年ぶりの新製品・サービス発表会を開催したソフトバンクモバイルは、今後どのような方針で業績拡大に結び付けようとしているのだろうか。
同社は今回、ソフトバンクブランドの新製品ラインアップとしてスマートフォン4機種を発表。2014年に投入したソニーモバイルコミュニケーションズのXperiaシリーズに加え、新たに「GALAXY S6 edge」を投入し、「Androidのフルラインアップを揃えた」と代表取締役社長の宮内謙氏はアピールした。
さらにワイモバイルブランドで、マイクロソフトのタブレット「Surface 3」を取り扱うことも発表。iPhoneに大きく偏っていたラインアップの方向性を変え、複数のプラットフォームに対応していく方針を示した。その理由について宮内氏は、スマートフォン黎明期はiPhoneによる一点突破が有効だったが、市場が成熟に向かっている現在は、バラエティに富んだラインアップを揃えた方が有効であるためと話している。
今後はさまざまなラインアップを揃えることでフィーチャーフォンユーザーをスマートフォンユーザーに変え、1人当たりの売上を高めていくというのが、ソフトバンクモバイルの主な戦略となるようだ。同社もやはり、今後競争環境が落ち着き、ユーザーの大きな流動が起きないであろうことを想定し、既存顧客の価値向上による売上拡大へと舵を切っていることが分かる。
一方のサービス面では、ソフトバンクモバイルとヤフーの顧客情報を連動させることで、「Yahoo!ショッピング」での買い物がしやすくなる仕組みの提供が目玉となっている。これは、ソフトバンクモバイルの顧客情報を基にYahoo! JapanのIDを自動で作成することで、Yahoo!ショッピングを利用しやすくするというもの。IDの作成やログインにかかる手間が少なく簡単に買い物ができるのはもちろん、毎月の携帯電話料金と合算で料金を支払えることから、クレジットカード不要で利用できるようになるのも大きなポイントとなっている。
またソフトバンクモバイルでは、IBMが開発した人工知能「Watson」を用いたサービスを提供していくことも明らかにしている。具体的な内容こそ示されなかったものの、高い情報分析能力を生かして医療や学習に関するアドバイスが受けられる仕組みなどが紹介されており、生活に役立つサービスの提供となる可能性が高い。
これらサービスの事例を見ても、やはりソフトバンクモバイルが自社の顧客に便利なサービスを提供し、既存顧客の満足度を高めていく戦略を取ろうとしていることが分かる。3キャリア共にサービス内容こそ異なるものの、市場の停滞傾向を受け“攻め”から“守り”へと戦略を変化させている点は、共通しているようだ。
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