攻めから守りへのシフトが明確に--携帯3社の夏商戦を読み解く - (page 2)

au WALLETに続くauの新戦略は“物販”

 実は今回の発表会において、既存顧客に対するサービスの価値を向上させることを重視した戦略をとっているのはドコモだけではない。KDDI(au)は2014年の夏商戦戦略で、プリペイド方式の電子マネーを用いた「au WALLET」を打ち出しており、既存顧客に向けバリューを高める取り組みをいち早く進めている。

 そして5月14日に開催された夏商戦戦略発表会においても、既存顧客重視という路線をしっかり踏襲した発表をしていた。実際、auの発表会でスマートフォンに関する説明こそドコモより時間が割かれていたとはいえ、主軸に据えられていたのはやはり端末ではなく、新しい物販サービス「au WALLET Market」であった。


auが今回の戦略の目玉に据えたのは、auショップでEコマースが利用できる「au WALLET Market」だ

 au WALLET Marketは、同名のEコマースサイトで普段より良質な食糧品や雑貨などを購入できるサービス。しかし、スマートフォンユーザーに向けた一般的なEコマースサービスの枠を超え、auショップを活用することで、Eコマースを体験するユーザーの幅を広げようとしている点に大きな特徴がある。

 具体的には、auショップに訪れたユーザーが、契約手続きなどの待ち時間を利用して、タブレットからau WALLET Market経由で商品を購入してもらうことを狙っているようだ。ここで非常に重要なのは、auショップのスタッフが利用者に付き添い、操作方法を説明しながら購入を進めていける点にある。


Eコマース未経験者に対し、ショップ内でスタッフが付き添いながらEコマースを利用してもらうのが、最大のポイントとなっている

 auはau WALLET Marketの発表の際、Eコマースを利用したことがない人をau WALLET Marketのターゲットに設定するとしている。普段訪れるauショップで、安心しながらEコマースを体験してもらうことにより、Eコマース、ひいてはユーザーのスマートフォン利用の幅を広げたいというのが、真の狙いと見ることができそうだ。

 auがこうしたサービスを実現できるのも、同社が抱える3600万の顧客と、全国2500ものauショップ、そしてそこに月間で1000万もの人が訪れる基盤を持っているからこそといえる。au WALLET、au WALLET Marketと既存顧客に向けたサービスを強化することにより、新規獲得ユーザーよりも既存の顧客を重視している姿勢を強く見せると共に、顧客基盤を強化して1人当たりの売上を拡大することで、縮小傾向の市場の中でも売上を高めていきたい狙いが、auにはあるといえそうだ。


auがすでに持つ顧客基盤を活用したサービスに力を入れていることから、“守り”の戦略を進めていると見ることができる

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