NTTドコモは5月18日、標準化に向けた作業が進められている、LTEの次の世代となる“5G”の通信方式に関する記者向け勉強会を開催。同社の5Gに関する取り組みと現在の進展状況を説明した。
5Gは、2020年以降の実現を目指した、LTEより一層の大容量・高速・低遅延を実現する通信方式。具体的には、LTEの1000倍の大容量化、ピークデータレート10Gbps、ユーザー体感スループット100倍の通信速度、さらにはIoT時代の到来を控え、同時接続端末数を100倍にするなどの性能を目標として、標準化が進められている。
先進技術研究所の5G推進室 室長である中村武宏氏は、ドコモが5Gの標準化にどのように関わっているか説明。ドコモは東京五輪が実施される2020年に、5Gの商用サービスを提供できるよう、関係各社や団体に働き掛けをしながら標準化活動を進めているとのこと。中村氏は「日本は性能に対する要求水準が高く、新しいシステムが求められていることから、2020年に何とか5Gを開始したい」と話している。
5Gに関する活動は日本だけでなく、アジアや欧州など世界各地で盛り上がってきているが、ドコモはその多くの活動に積極的に関与し、早期実現に向けた活動を進めているとのこと。ドコモ自身も、5Gの性能をリアルタイムに評価するシミュレータの開発や、世界の主要通信機器ベンダー8社の協力により、多様な技術や周波数帯での5Gに関する実験を実施している。
中村氏によると、すでに5Gの基本コンセプトは固まってきているそうで、現在は標準化を進めるために詳細な要求水準を定める作業が進められているとのこと。日本では2020年の5G商用化実現を目指しているものの、実はこの時期の商用化を考えている国は数が少なく、他の国の動きはそこまで早くはないと中村氏は話す。そうしたことから商用化の早期実現に向け、「早め早めのアクションを取り、世界の事業者を引っ張っていきたい」(中村氏)としている。
一方で、新世代の通信方式の商用化をあまりにも急いでしまうと、FOMA導入時のように他キャリアの追随が大幅に遅れることで、長い間孤立してしまい先行メリットを全く受けられないというリスクもある。この点について中村氏は、「リスクがないとはいえないが、それを避ける策を考えなくてはいけない」と話す。通信機器ベンダーとの共同実験のように他の企業を巻き込んだ取り組みを進めたり、早期導入が見込めそうな海外キャリアに訴求を進めたりしながら、仲間を増やしリスクを減らすことを考えているとのことだ。
CNET Japanの記事を毎朝メールでまとめ読み(無料)
ZDNET×マイクロソフトが贈る特別企画
今、必要な戦略的セキュリティとガバナンス
ものづくりの革新と社会課題の解決
ニコンが描く「人と機械が共創する社会」