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“三者三様”となった携帯キャリア決算--戦略の方向性に違いも

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 4~5月にかけて出揃った、携帯電話主要3社の決算。大きく落ち込むNTTドコモ、好調を続けるKDDI、伸び悩むソフトバンクと、“三者三様”の決算となったが、2015年度に向けた戦略も三者三様となるなど、狙いや方向性に違いが出てきているようだ。各社の決算発表会から、今後に向けた取り組みを確認してみたい。

大幅減益のドコモ--パートナーとの“協創”で事業拡大へ

 新料金プランによる落ち込みの影響が色濃く残るドコモの2014年度の決算は、売上高が前年度比1.7%減の4兆3833億円、営業利益が22%減の6391億円と、利益の大幅な落ち込みが目立つ。大きな原因は新料金プラン導入による通信サービス収入の減少、そして月々サポートによるところがやはり大きい。ちなみに事業別では、スマートライフ事業が39億円の営業減益となっているが、これは「NOTTV」などを展開しているmmbiの減損処理をしたことによる、一時的なものとしている。

 しかしながら、最近まで大きく落ち込んでいた他社との競争力は回復傾向にあるようで、純増数は前年度比2.2倍の349万、番号ポータビリティ(MNP)による転出数は前年度比70%減の38万。解約率も0.71%にまで低下している。ARPU(1ユーザーあたりの月間売上高)も音声・データに関しては横ばいだが、スマートARPUが伸びたことで反転基調にあるようだ。

 最大の懸念事項である新料金プランによる減収の影響も、月を追うごとに改善傾向にある。新料金プランの契約数が1800万に達したことに加え、固定ブロードバンドサービス「ドコモ光」による大容量プランへのアップセルも、順調に進んでいるとのこと。ただし、ドコモ光は開始約1カ月で23万件の申し込みを受けるなど好調なものの対応は遅れ気味とのことで、オペレーションにはまだ課題があるようだ。


「ドコモ光」の導入によって、パケット定額サービスなどのアップセルも順調に進んでいるとのこと

 新事業領域もmmbiの減損がなければ好調な伸びを示しており、事業全体として回復基調にあるのは確かであろう。ただ、気になるのは2015年度の業績予想に関してだ。売上高は4兆5100万円、営業利益は6800億円と今期からの伸びを見込んでいるものの、伸びのけん引役となっているのが、通信料収入(プラス700億円)やスマートライフ事業(プラス500億円)の伸びではなく、コスト効率化(プラス2100億円)によるところが大きい点である。

 ドコモは他社のiPhone攻勢による大量の顧客流出や、新料金プランの見込み違いによって大幅に収益を落としており、通期業績でもソフトバンクやKDDIに追い越されてしまっている。そうしたことから積極的なコストダウンを進めているが、急激なコスト削減は社員だけでなく、周辺でビジネスを支える外部の事業者に対しても士気の低下をもたらすこととなる。それだけに、やはりコスト削減に寄らない本来の事業面での改善策が求められるのは確かであろう。


2015年度の営業利益要因。通信収入などの売上よりも、コスト効率化による節約に依存するところが大きい

 なお今回、ドコモは中期目標に向けた新たな取り組みとして、2015年度以降の戦略の方向性を打ち出している。具体的な方向性の1つは、2014年のキャッシュバック合戦に代表される顧客獲得競争の過熱から脱却し、長期利用者に向けた付加価値を提供して売上を高めていくこと。それゆえ今後は、スマートフォンとドコモ光をベースとしながら、スマートライフ関連サービスなどによってユーザー1人当たりの売上を高める戦略に出ると見られる。5月13日に発表されたポイントプログラム「dポイント」の拡充などは、そうした流れを象徴しているといえるだろう。

 そしてもう1つの方向性は、自社だけでなく、さまざまなパートナーとのコラボレーションで新しい価値を創造する“協創”だ。特にスマートライフ領域に関しては、ドコモだけで取り組むのには限界があることから、顧客基盤やネットワークなどドコモが持つアセットを生かしながら、パートナー企業との協力を積極的に進めることで、新事業の拡大を進める「+d」の取り組みを進めていくとしている。


ドコモのアセットを生かしながら、パートナーとの“協創”で新たな価値を生み出す「+d」を中期戦略の主軸に据える

 すでにポイントプログラムに関してローソンとの提携を発表するなど、協業体制を進めることを明確にしたドコモ。大幅な業績悪化による混乱が落ち着いたことで、顧客基盤を有効に生かす施策を打てるかどうかが、今後の成長に大きく関わってくるといえそうだ。

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