SIMロック解除を義務化された大手キャリアが対応に悩む一方、義務化に大きな期待を寄せ、盛り上がっているのがMVNOだ。実際、SIMロック解除義務化を控えた4月中旬頃から、いくつかのMVNOや量販店が次々と、新しい施策を打ち出している。時系列で各社の発表内容を確認してみよう。
4月14日には、これまでデータ通信にこだわってきたワイヤレスゲートが、音声通話に対応したSIM「ワイヤレスゲート Wi-Fi+LTE」を4月28日より提供するとともに、ヨドバシカメラにワイヤレスゲートのSIMカウンターを5月中旬に用意することを発表。そのヨドバシカメラも、SIMフリー需要の高まりから、複数のMVNOのSIMに対応した「ヨドバシカメラSIMフリーカウンター」を、5月中旬より順次設置するとしている。
また4月23日には、フュージョン・コミュニケーションズが「楽天モバイル」の新製品発表会を開催。「ZenFone 2」「Xperira J1」などスマートフォン・タブレット合わせて5つの新機種を投入することを発表した。同社は他にも、4月14日よりキャリアの解除料相当の料金をキャッシュバックする「今月があなたの解約月キャンペーン」を実施しているほか、5月1日より「SIMロック解除義務化記念キャンペーン」として、通話SIMのみ申し込んだ場合は初期費用3000円を無料にするなど、大手キャリアに近い戦略も取り入れてユーザー拡大を進めようとしている。
SIMロック解除義務化で勢いを増すMVNOだが、実際その恩恵にあずかれるかどうかは未知数な部分も多い。というのも、ドコモやauはSIMロック解除に6カ月間の制約をかけているため、義務化後すぐSIMロック解除の恩恵が得られる訳ではないからだ。またそもそも、多くのMVNOが利用しているのはドコモの回線であることから、ドコモの端末であればSIMロック解除をしなくても利用自体は可能であるため、ユーザーが積極的に解除をするとは限らない。
そうしたことから、SIMロック解除義務化の影響は、ある程度時間が経過しないと見えてこないというのが、実際のところだ。日本でユーザーが大きく動き、義務化の影響が出る可能性があるのは、SIMロック解除義務化後に発売される、人気のiPhoneの新機種がSIMロック解除できるようになってから、つまり1、2年後と考えられる。
むしろその間に起きる競争環境激化にいかに勝ち抜くかが、MVNOにとっては大きな課題になってくるといえるだろう。
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