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世界観を壊してはいけない--ローソンの「Ingress」戦略を担う“ガチ”エージェント社員

別井貴志 (編集部) 藤井涼 (編集部)2015年04月25日 10時24分
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 「ローソンのお店がポータルになっている」――2014年11月、グーグルの位置情報ゲーム「Ingress」において突如、全国のローソン店舗がポータル化し、エージェント(Ingressプレーヤー)たちの間でちょっとした騒ぎになった。日本国内でIngressが企業と、それもこれほどまでに大規模にコラボしたことは初めてだったからだ。

 ローソンといえば、いち早く「魔法少女まどか☆マギカ」や「けいおん!」などの旬なアニメ作品とコラボし、「ニコニコ超会議」を始めとするネットサービス発のカルチャーイベントなどにも積極的に参加している。そのため、今回も同社のフットワークの軽さを評価する声は多かったが、その一方で「Ingressの世界観が壊れるのではないか」と危惧する声もあり、ユーザーの間でも賛否両論となった。


ローソン 営業戦略本部 マネジャーの佐藤数馬氏

 それから5カ月以上が経ったが、ローソン店舗のポータル化はどれほどの効果があったのだろうか。初のコラボが実現した経緯なども含め、ローソン 営業戦略本部 マネジャーの佐藤数馬氏に聞いた。

自身もレベル15の“ガチ”エージェント

――ローソン店舗のポータル化は、どのような経緯で実現したのでしょう。

佐藤氏 : 2014年の5月くらいに、たまたま当時の本部長が(Ingressの生みの親である)ジョン・ハンケさんとお会いする機会があり、そこで社内ベンチャーのNiantic Labs(ナイアンティック・ラボ)として、Ingressを提供していることを知りました。それから1カ月後に、本部長とともに僕と白井(ローソンで数多くのコラボやキャンペーンを手がけてきた同社の白井明子氏)も、米国のグーグル本社へ行くことになり、そこでハンケさんや川島氏さん(Ingressの開発に携わる川島優志氏)から具体的なお話を伺いました。

 ハンケさんの思いは、家でゲームをしている子どもたちを外に出したいということでした。一方で、ローソンも「マチの健康ステーション」として、皆さんの健康的な生活をお手伝いすることを目指しています。ただ、“食”という側面ではできているのですが、“運動”というところではなかなか難しいところもありました。でも、Ingressなら歩いてもらえるしこういう形はありだよねと。連携しやすかったこともありトントン拍子で話しが進みました。

――佐藤さんご自身も、かなりのIngressヘビーユーザーとのことですが、いつ頃からプレイしていたのでしょう。

佐藤氏 : iPhone版がローンチされてすぐなので、昨年の7月末くらいですね。私がIngressの担当になることはまだ決まっていなかったのですが、お話は伺っていたのでじゃあやってみようかと。始めてレベル8になるまでは1カ月かからなかったのですが、そこから少し止まって、10月に(公式イベントの)Darsanaの後にメダルがたくさん出たじゃないですか。あれで一気にレベルが上がってしまったという、よくあるパターンです(笑)。その翌週にレベル11から13まで1週間で上がりましたね。そして、2月の中旬くらいにレベル15に上がりました。

――かなりハイレベルですね……。

佐藤氏 : 日によってバラつきはありますが、通勤ではほぼスキャナーしか見ていません(笑)。それに、ポータルが多いルートをピンポイントで狙って歩いています。僕の自宅は駅から歩いて7分ほどなのですが、いまは20分かかっていますね。これがIngressのすごいところだと思っています。皆さん、意外と身近にあるローソンのお店って知られていなかったりするんですが、ポータル化してからは、必ずローソンに行くようになったというエージェントの方もいますね。そこのお店のポータルキーばかりずっと集めている人とか。

――コラボする上で苦労したことは。社内の理解は得られたのでしょうか。

  • ローソンのIngressコラボページ

佐藤氏 : Ingressの世界観については、ハンケさんのこだわりがかなり強いので、そこを崩さないようにコラボしていくというところで、今もとても神経を使っています。海外であれば、ニューヨークのドラッグストアやジュース屋さんがすでにポータル化していたのですが、日本では初の試みになるので、日本のエージェントの反応も考えて慎重に進めました。実は、ポータルにすることは早い段階で決まっていたのですが、どう表現するのか、説明書きをどうするのかという部分にはかなり気を使いましたね。

 我々はこれまで、いろいろな位置情報ゲームとコラボさせていただいていて、お店で商品を買うとゲーム内で使えるアイテムがもらえますよ、というものは結構やっていたのですが、お店自体がゲームに出てくる、それも実在のお店が実在の場所に出てくるというものは初めてだったので、チャレンジとしてはすごく面白かったと思います。また、社内の理解というところでは、うちの企業文化なのかもしれませんが、とりあえずやってみて駄目だったらさっさとやめなさいという考えなので、こうした新しい取り組みはやりやすいですね。

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