横須賀市経済部商業観光課が横須賀市への集客としてIngressを利用しはじめたのは2014年12月だ。12月25日には「イングレス in横須賀」体験ツアーを開催。2月末まではLevel 2以上のエージェントに対し、無人島「猿島」へ渡る運賃が通常の半額になる「INGRESS割」を実施していた。
自治体としては初となる「INGRESS特設ページ」も立ち上げ、新たな集客に乗り出した横須賀市の取り組み内容や、Ingress活用に至った経緯について、横須賀市経済部商業観光課集客プロモーション担当の矢部賢一氏、古崎絵里子氏と、Ingressプロモーションに対して監修を務める堀正岳氏、オオツネマサフミ氏にお話を聞いた。
古崎 2014年の夏頃から個人的にIngressをはじめて、かなりはまってしまって(笑)。そこで商業観光課の職員も同じ陣営ではじめてもらい、仲間を増やしていって、だんだん事業に結びついていきました。
Ingressは、集客と親和性の高い内容だったため、始めた時から早く事業に役立てたいと思っていたのですが、予算がない中でどれだけのことができるかは未知数でした。その時に岩手県での取り組みを知り、前例ができたことで横須賀市の商業観光課としても一気に動けました。
矢部 私たちは観光商業課の中でも集客に特化したプロモーションを担当しています。そのためポータルを実際に訪れるというIngressのゲーム性は集客に活用できるだろうと考えました。
矢部 岩手県の取り組みがいい後押しになりました。内部では上司に話を通したあと、市長の吉田(雄人氏)に説明したのですが、市長自身も新しい取り組みに積極的なので「ぜひ」と許可が下りました。
もともと、グーグルの方と連携している職員がいてそこから話をつなげてもらい、オオツネさんは日経MJのIngress記事にコメントを寄せられているのを見て、堀さんは、古崎が参加していたハングアウトを通じてお声がけしました。
堀 岩手県はもともとポータルが少なく、ポータルを申請しにいこうというイベントだったと思います。しかし横須賀はすでにポータルがたくさん存在し、激しいバトルも繰り広げられていた。Ingressが楽しめる横須賀に人を引きこもう、人に来てもらおうというのが取り組みです。
ちょうど「Mission」(ウェイポイントと呼ばれる一連の文化的意味のある地点や美的価値観のある地点を見つけるルート作成)機能が提示された頃で、このMissionを使って人を動かしていこうというのがこの企画です。
オオツネ 岩手県の前に2014年春に宮城県石巻市でもIngressのイベントが開催されています。岩手県も宮城県も震災復興の意味合いを込めていて、大変意義のあることですが、横須賀でやるのならばそれは違うなと。人を呼んで地域を盛り上げようとする意味合いはもちろんありますが、それ以上にいわゆるIngressの“ガチ勢”も横須賀に来れば、よりゲームが楽しめる方向を目指しました。
堀 こうすることで一過性のものではなく、継続的に人を呼びこむことができます。これは横須賀の地域性が大きいのですが、東京から来るのには少し遠い、途中に横浜や鎌倉といった大きな観光地があり、そこで人が止まってしまっている現状がありました。
「横須賀自体は知っているけれど、わざわざ行くまでもない」と考えていた人たちに「Ingressをやりに横須賀へ行こう」という新たな目的を提示できたのです。
横須賀は海に囲まれ、内陸には山がある地形です。沿岸部には特にポータルが多いので、内陸のポータルとうまくつなぎ合わせることで、非常に広いフィールドを張れるようになります。横須賀に大きなフィールドを1つ張るだけで、エージェントのランキングに入ることもできます。山もあり海もある。東京都内の平地でIngressを遊ぶのとはかなり違った感覚なんですね。
また、三笠公園、猿島、鷹取山などの観光ポイントもあり、それぞれをMissionにすることで、かなり面白いルートを作成できることがわかりました。
古崎 最初は京浜急行線の横須賀中央駅付近にあるポータルの密集した場所だけでMissionを作っていたのですが、その後横須賀の観光スポット、Ingressを抜きにしても行って楽しい場所をMissionを広げました。
CNET Japanの記事を毎朝メールでまとめ読み(無料)
「程よく明るい」照明がオフィスにもたらす
業務生産性の向上への意外な効果
ものづくりの革新と社会課題の解決
ニコンが描く「人と機械が共創する社会」
ZDNET×マイクロソフトが贈る特別企画
今、必要な戦略的セキュリティとガバナンス