連載タイトルに「スマートフォン」とついているが、ティーンの問題はスマホ以外でも起きている。スマホの所持率が低い低年齢の子どもたちは、どのようにしてインターネットにアクセスしているのだろうか。今回は、特に小学生のネット事情を中心に見ていこう。
総務省の「平成25年情報通信利用動向調査」によると、近年スマートフォンの利用率は全体的に伸びており、13~19歳は2012~2013年にかけて52.9%から64.1%へと大幅に増えている。しかし、逆に言うと中高生でもまだスマホの所持率は6割強程度でしかないと言える。これより年齢の低い小学生のスマホ所持率はさらに低くなることは明らかだ。
ところが最近は、早ければ小学校中学年くらいから、LINEを使ったネットいじめなどが問題視されるようになっている。小学生などの低年齢の子どもたちはどうやってネットを利用しているのだろうか。
ベネッセ教育総合研究所「中高生のICT利用実態調査」(2014年12月)によると、インターネットにアクセスするデバイスは、中学1年生はPCが50.4%、スマートフォンが35.6%、ゲーム機が26.7%、携帯型音楽プレイヤーが26.5%、タブレット端末が25.2%、携帯電話が16.7%となった。
つまり、約4分の1がゲーム機、携帯型音楽プレイヤー、タブレット端末などでネットを利用しているのだ。この傾向は年齢が低いほど強く、高校生ではほぼスマホからの利用になるが、小学生や中学生などまだスマホを所持していない層は、低年齢から一人一台買い与えられることの多いゲーム機などでインターネットにアクセスしているというわけだ。
ある小学校で保護者に、「子どもが『LINEがやりたいからスマホがほしい』と言っていたのですが、LINEがらみで事件も耳にするし、まだ早いからと買いませんでした。ある時、『ウォークマンを買って』と言うので、それならいいかと買い与えたところ、気づいたらウォークマンでLINEをやっていたんです。どうしたらいいでしょうか?」という相談を受けた。このような話はあちこちで耳にする。
実は、ニンテンドー3DSなどのゲーム機、ウォークマンなどの携帯型音楽プレイヤー、iPadなどのタブレット端末ではインターネットが使える。ニンテンドー3DSには、Twitter、Facebook、Tumblrに画像を投稿できるサービスが用意されている。街角でニンテンドー3DSで撮影している子どもを見かけることは多いが、写真を撮影してSNSに投稿というような使い方もできるのだ。また、メールアドレスがなくても登録できるニンテンドー3DS版のニコニコ動画「ニコニコ」はすでに100万ダウンロードされている。
最近のゲーム機ではゲームをダウンロードしたり通信対戦をするため、インターネットに接続できるものがほとんどだ。また、ウォークマンやiPod touchなどではLINEも利用可能だ。
子どもたちはこのような一人一台買い与えられているゲーム機などの端末を使ってインターネットにアクセスしている。子どもの間では常識だが、前述の保護者のように、大人はこのような端末でネットにアクセスできることを知らないケースが多いのだ。
ゲーム機などの端末がスマホと大きく違う点は、基本的にWi-Fiや無線LANしか利用できない点だ。「家庭のWi-Fiに接続させなければインターネットに接続できないので安心」と考える保護者は多いが、実際はどうなのだろうか。
「ネットはうちのWi-Fiを使うか、無料の無線LANスポットに行く」と小学6年生の男児A彦は言う。A彦が所持するのは携帯型ゲーム機だ。保護者はインターネットに接続できない設定にしていたものの、自分で設定を変えて接続できるようにした。情報源はクラスの友達だ。友達は、中学生の兄弟から情報を得ているのだという。
A彦いわく、家庭のWi-Fiは保護者のPCからパスワードを入手、アクセスしているそうだ。街角の無料無線LANスポット情報はクラスに知れ渡っており、友達と遊ぶ時は一緒にそのようなスポットを利用することも多いという。
子どもたちはオンライン、オフラインで濃密につながっており、情報は瞬時に共有される。一人が得た情報は瞬く間に友人間で共有されてしまうのだ。
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