バッテリ消耗が激しい「Ingress」に欠かせないモバイルバッテリに着目し、前回は公式バッテリ「INGRESS POWER CUBE」を開発したcheeroへのインタビューを掲載した。同じく公式バッテリを発売予定であるもう一社、Ankerはどのようなきっかけで開発に至ったのか、アンカー・ジャパンのマーケティング&セールス マネージャーである猿渡歩氏に聞いた。
AnkerはGoogle出身者らによって2009年に創設されたメーカーで、日本法人の設立は2013年1月。モバイルバッテリのほか、キーボードやマウス、ポータブルスピーカ、スマートフォン/タブレットケースなどを開発している。
――Ingress公式バッテリの開発に至った経緯は。
猿渡氏:以前、Ingressの情報を扱うウェブサイト「DeCode Ingress」がバッテリに関する調査結果を紹介していました。どのブランドのバッテリを使っているか、何個持っているか、容量はどのくらいかなどを聞く内容で、Ankerが最も多くの方に使っていただいていることが分かりました。それがまず1つのきっかけです。
もう1つは、当社は主にアマゾンを通じて商品を販売しているのですが、エージェント(Ingressユーザー)を対象としたクーポンキャンペーンの反響がよかったこと。商品にクーポンコードを設定し、購入時に正しいコードを入力してもらうことで割引などの特典を提供できるもので、クーポンコードをIngressコミュ二ティのみ流したところ、対象製品の売上がかなり伸びました。
製品によっては数倍伸びたものもあったので、ニーズがあり、かつAnkerを選んでいただける感触をつかめました。
プロジェクトを立ち上げる際には、当然、開発コストがかかるためROI(投資対効果)が見合うかという議論をしました。ただ、こういった調査や事前のキャンペーンの結果を見る限りはある程度需要が高そうだということで、Niantic Labsにコラボレーションを提案しました。
――Niantic Labsとのやり取りは猿渡さんが担当しているのですか。
猿渡氏:日本法人は人数が少ないので、大枠のやり取りは本社の者にお願いしています。日本国内でのローカルイベントには私も参加したことがあります。
――バッテリの性能やデザインをエージェントからの投票で決めていましたね。
猿渡氏:単純に社内で考えて作ったというよりは、エージェントが求めているものを、直接意見を吸い上げて作ることを大事にしました。私たちはIngressの専門家ではなくメーカーなので、なるべくプレイしている方の目線で作ろうと。
開発当初、どういったものにするかで2種類の案がありました。完全なオリジナルモデルを作るか、既存モデルをIngress仕様にカスタマイズするか。
完全オリジナルモデルの場合には開発コストが大幅に上がり、最終的に販売価格に波及してしまうため、当社の既存製品のどれかをベースにすることにしました。当社のコンセプトである「よいものをお求めやすく」を考慮した結果でもあります。
その後、実際にエージェントがどれほどの容量のバッテリが欲しいのか、デザインは陣営ごとに分けるべきかなどをアンケートで調査しました。結果として、1万6000mAhの既存モデル「Astro E5 第2世代」をベースにすることを決定し、両陣営から具体的なデザイン案を募りました。
さらにその後、いただいたデザイン案からこちらで両陣営3つずつ選出し、どれがよいと思うかをまた投票で決めました。それが今のデザインです。総投票数はエンライテンド(緑)が4097票、レジスタンス(青)が3841票で、どちらも過半数が1位になったデザインに投票していました。
ノミネートしたデザインの他にも、かなり凝った斬新なデザインもありました。しかし、製造過程でデザインが完全には再現できない、または不良率増加による出荷遅延の恐れがあり、それはお断りせざるを得なかった。それは残念に思っています……。
今後、4月後半にプレセールを約2週間実施する予定で、夏頃にはお手元に届けられるようなスケジュールで動いています。
――発売前ですが、なにか反響は寄せられていますか。
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