logo

仮想通貨「ビットコイン」の今--マウントゴックス破綻から1年 - (page 3)

藤井涼 (編集部)2015年04月03日 07時05分
  • このエントリーをはてなブックマークに追加

ビットコインをECや店舗で使ってみた

 これまでビットコインを取り巻く現状について紹介してきたが、やはり実際に使ってみなければそのメリットやデメリットは感じづらい。そこで、日本円をビットコインに替えて、ECサイトと実店舗での支払いに使ってみた。

  • 10分ほどで1万円分のビットコインを購入できた

 今回、筆者が使ったアプリはレジュプレスが提供する「coincheck」。同社が指定する銀行口座に入金することで、10分ほどで1万円分のビットコインを手に入れることができた。現在は取引手数料が無料のため、試しに社内で個人間での送金をしてみた。「1Mdmfrksfh5YgNKH……」といった文字列からなる相手のアドレス宛にビットコインの金額を記入。あとは送信ボタンを押すだけで瞬時に相手に送ることができた。

 個人間送金についてはその利便性を実感できたが、問題は商品購入などでの支払いだ。日本のECサイトはほとんどビットコイン決済には対応していない。それでもいろいろと探したところ、美少女ゲームなどの通販サイトである「Getchu.com」が対応していたので、ここでの支払いに使ってみた。さすがに取材用に美少女ゲームは買えないので、「次にくるマンガ大賞」の1位にも選ばれた週刊少年ジャンプの「僕のヒーローアカデミア」を買うことにした。

 通常の決済と同様に住所などを入力した後に、決済方法でビットコインを選ぶ。基本的にビットコインはQRコードを読み込んで送金するのだが、ここで支払情報画面の下に見慣れない15分のカウントダウンが表示された。これは、15分間だけレートが固定されているという意味で、刻々と時間が減っていく中、支払いを完了しなければならない。これには焦ってしまう人もいるだろう。

 さらに、QRコードの画面を読み込もうとしたところ、エラーが続きうまくいかない。これはGetchu.comが「bitbank PAY」を導入しており、サイト上では支払いのために「アドレス+金額」が記載されていたのだが、coincheckのサービス内では「アドレス」と「金額」を別に入力する必要があるためだった。そこで別々に入力して送金したところ無事に支払いが完了した。今回は何とかやり方を変えて支払うことができたが、サービス連携をするなどして、もう少しスムーズに支払えなければ一般消費者が使うのは難しそうだ。

  • すべての取引履歴を確認できる

  • アドレス(複雑な文字列)を宛先に入力して送金する

  • 支払い情報画面にはカウントダウン(画面中央あたり)が表示される

 続いて、東京都内のビットコイン決済に対応するレストランでの支払いにも使ってみた。食事を終え、支払い時にビットコイン決済である旨を伝えると、スタッフが専用の機械に金額を入力してQRコードを印刷。それをアプリで読み込んで支払うのだがここでもサービス間での連携が取れておらず、結局「askjfjFd1D9sdal……」のような文字列を目視で確認しながら手打ちで送ることになり、何度も間違えてしまい時間がかかった。

 また、スタッフに確認したところ店舗にとっての問題も見えてきた。まず、支払い完了後にレシートが発行されるのだが、日によっては30分以上発行されないこともあり、お客は待ちきれずに帰ってしまうこともあるそうだ。また支払い後の店舗アプリへの反映も遅い時には翌日まで待たされることもあるという。さらに、ビットコインはレートが大きく変動するため「2000円の支払いでも翌日には1000円の価値になっているかもしれない。いつ現金化すればいいか分からない」と不安を語った。現在、ビットコインによる売上げは月に数万円程度だが、この割合が増えた場合には何かしら対応を考えたいとしている。

 後から分かったことだが、筆者が訪れたこの店舗が導入したサービス自体にいろいろと問題があったようだ。たとえば、アップルのようにデジタルレシートを発行するサービスもあるし、入金作業が早い事業者であれば支払い後にすぐに反映される。また、coincheckのように支払い時のレートが固定されるサービスもあるため、換金のタイミングやレートを気にする必要はない。とはいえ、今回訪れたような店舗では、ユーザーが使ってるサービスによってはまともにビットコイン決済ができないケースもある。こちらも、早急に各社のシステム連携や標準化を進める必要があるだろう。

ビットコインがもたらすのは革新か、リスクか

 ビットコインのことを知らない人のために、さまざまな角度から基本的な情報を紹介したが、どのような印象を持っただろうか。

 今後、ビットコインがさらに普及するには、やはり決済で使えるECサイトや店舗の拡大が不可欠だ。グローバル企業ではPayPal、DELL、衛星放送のディッシュ・ネットワーク、旅行予約のExpediaなどがビットコイン決済を導入している。しかし、先述したように日本ではまだ一部のEC事業者や飲食店などしか対応していない。

 そこで期待されるのが大手EC事業者によるビットコイン決済の取り扱いだ。楽天市場やYahoo! ショッピング、Amazon.co.jpなどが導入し、加盟店でも使えるようになれば、システムの統一化やサービス間の連携も進むだろう。また、大手事業者が取り扱うことでビットコインそのものの信頼性も一気に高まる。


楽天がビットコインの取り扱いを表明

 そのきっかけを作りそうなのが、ビットコイン決済サービス「Bitnet」に出資している楽天だ。同社の三木谷浩史会長は2月23日の金融カンファレンスで、ビットコインの導入について「考えてはいるし、おそらく使うと思う」と答えていたが、それから3週間後の3月中旬に正式に採用することを発表した。まずは米国から開始し、オーストラリアやドイツなどに広げていく。日本での導入については未定としているが、国内最大規模のEC事業者が決済方法として採用したことは大きな一歩と言えるだろう。

 また今後、「LINE Pay」や「Facebook」などで提供される個人間送金が一般的になり、多くの人がそのメリットを実感できるようになれば、低い手数料で個人間送金ができるビットコインも親しみを持って利用される可能性はある。それに、仮想通貨はビットコインだけではない。ほかにもグーグルが出資する「Ripple(リップル)」を始め、数多くの種類が存在する。もしかしたら、ビットコインではなく近い技術や仕組みを持った別の仮想通貨が主流になるかもしれない。

 明暗それぞれの動きが複合的に起き続けるビットコインは、社会に変革をもたらす金融技術となるか、あるいはリスクとなるのか。その動向にはこれからも注目が集まることだろう。

CNET Japanの記事を毎朝メールでまとめ読み(無料)

-PR-企画特集

このサイトでは、利用状況の把握や広告配信などのために、Cookieなどを使用してアクセスデータを取得・利用しています。 これ以降ページを遷移した場合、Cookieなどの設定や使用に同意したことになります。
Cookieなどの設定や使用の詳細、オプトアウトについては詳細をご覧ください。
[ 閉じる ]