スポーツはテクノロジの力によってどうイノベーションしていくのか。この連載では、スポーツトレーナーの視点から、海外を中心とした最先端の知見と事例を紹介する。今回は「スポーツ×ビットコイン」をテーマに、ユーザーのフィットネスデータを計測し、それをもとにビットコインをマイニングする「FitCoin」の取り組みを紹介しよう。
仮想通貨「ビットコイン」がメディアを賑わせるようになって久しいが、新たなアプローチでこのビットコインを活用しているのが、米テキサス州に拠点を置くFitCoinだ。多くの暗号通貨がコンピュータを使った「マイニング(電子通貨の掘削)」作業を必要とするのに対して、FitCoinはどれだけ激しくエクササイズしたかがカギになる。
ケイオティック・ムーン・スタジオが開発したアプリであるFitCoinは、「Mio」や「Atlas」「Jawbone 3」などのウェアラブル端末のトラッキングデータと連動して機能する。
ユーザーの運動中にトラッキングされる心拍数やエクササイズの時間に関するデータはウェアラブル端末に蓄積される。連動したFitCoinアプリに転送されたデータは、独自のアルゴリズムによってマイニングへとプロセスされる。
FitCoinのデザイナーであるグラント・ニコル氏がトレッドミルで4分ほど心拍数115をキープして走ったところ、Mio Bandからのデータを受信したFitCoinが5セントほどマイニングした。
目標金額を設定しておけば、リアルタイムでいくら稼いだか通知が来るようになるという。トレーニングのインセンティブとしては非常に面白い試みだ。
将来は、トラッキングデータをもとにして運動すればするほどリーズナブルな料金になる健康保険を提供する予定だという。
ご意見・ご質問はTwitter(@hirokibacardi)まで。
渡邊拓貴(わたなべ ひろき)
2012年カリフォルニア州立大学運動生理学科卒業。早稲田大学スポーツ科学部4回生。専攻はアスレチックトレーニング。ロンドンオリンピックでは障害馬術競技選手の専属トレーナーとして帯同する。以降トレーナーとして各地で活動。
スポーツがテクノロジにもたらすイノベーションをテーマに専門メディア「SportTechBros」を創設。
フィットネス系AppleWatchアプリ「FitWatch」を提供中。
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