ウェザーニューズは3月18日、10年に1度開催される国際的な防災戦略について議論する国連主催の「第3回国連防災世界会議」で「災害時ネット住民に何ができる?」をテーマにしたパブリックフォーラムを開催した。
2011年3月11日に起きた東日本大震災では、電話や携帯電話などがつながりにくい状態に陥いる中、安否確認や情報共有の手段としてインターネットが活用された。TwitterやFacebookなどのSNSによって誰もが手軽に情報発信や情報共有ができる一方で、信頼性の問題も取り沙汰され、よくも悪くもネットの影響力がフォーカスされたきっかけにもなった。それから4年がたった今、スマートフォンの普及が進んだことに加えて、当時はなかったLTEの登場などインフラ面でも変化が起きている。
ネットのパワーを「減災」に役立てられたらもっと災害に強い社会ができるのではないか──。ネットユーザーのパワーで、なにができるのかをテーマにディスカッションが行なわれた。
パネリストに堀江貴文氏、ニワンゴ代表取締役社長の杉本誠司氏、NHK報道局ネット報道部 チーフ・プロデューサーの山下和彦氏を迎え、ウェザーニューズ取締役の石橋知博(バシ)氏、ウェザーニューズキャスターの木島由利香氏がMCを務めた。
なお、このフォーラムの様子はニコニコ生放送の公式番組として生中継するとともに、ウェザーニューズの「SOLive」でも生中継された。会場の両サイドには大きなパネルを設置。それぞれの視聴者のコメントが表示され、会場の聴講者も見られるようになっていたほか、登壇者の席に設置されたタブレットでも見られるようにし、視聴者の意見を取り入れながら進められた。
「NHKでは全国で記者やカメラマンが取材しているが、テレビやラジオなど放送で伝えるだけでなく、ソーシャルやTwitterなどでも伝えていくことの必要性は4年前に明らかになったと思う」──山下氏は、東日本大震災当時を振り返った。
東日本大震災の直後、広島県に住む学生がNHKのニュース画面を無断でUstreamに中継。それを知ったNHKのTwitter担当者が「停電のためテレビが見られない地域もある。少しでも情報が早く届く手段があるなら活用してほしい」と個人的な見解をツイートしたことで話題になった。そのことがきっかけで、NHKは公式にネットでのストリーミング配信を開始した。
実は当時の法律では、NHKがネットで配信することは放送法で禁じられていた。解禁されたのは、2014年6月に放送法改正案が可決された後のことだ。
山下氏は「ハプニング的に始まったもので、当時は緊急事態だったからできたこと。ただ、振り返ると被災外の人がメインになっていた。コメントが載ることによって不安感を共有でき、不安を払拭するところにはなっていたかもしれないが、被災地にはどうするべきだったか、読み切れないところがある。コンパクトに情報交換ができるTwitterのほうがよかったかもしれない。今はインフラが整ってきているので、状況が変わってきている」とし、今後についてはもう少し考えていきたいとした。
堀江氏は、「4年前にホンダはカーナビの走行データをもとに渋滞しているところや通れない道のデータを公開した。今ならスマートフォンの情報をもとにビックデータ解析ができるかもしれない。そこは放送ではできない部分。放送も必要だしネットも必要。たくさんの人たちに役立つものは放送で流して、被災者の情報や行方不明者の情報はネットで見る、という棲み分けが必要だし、多くの人がそういう意識付けをしないといけない。むやみに電話を鳴らしても、輻輳するだけ。テキストメッセージングだと負荷が掛からない、というリテラシーも必要」と提案。
また、「原発事故が起こったとき、どういうことなのか不安になった人がいると思うが、的確な解説をする人がいて安心した面もあると思う」とし、ネットにいるさまざまな専門家らの情報発信力を活用すべきだと語った。
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