ネットのチカラで減災へ--災害時、ネット住民に何ができるのか。堀江貴文氏の提案 - (page 3)

フォローワーが多い人は信頼できるのか?

ウェザーニューズキャスターの木島由利香氏とウェザーニューズ取締役の石橋知博(バシ)氏
ウェザーニューズキャスターの木島由利香氏とウェザーニューズ取締役の石橋知博(バシ)氏

 一般的なネットユーザーだという木嶋氏は、「ネットで見ている限り、意見が平面に見える。それを凹凸にして、情報収集がうまくない人にも『コレを見た方がいいよ』ということが明確になるといい」と意見を述べた。

 ソーシャルでは、フォローワーがたくさんいる人、有名人からフォローされている人が目立つ傾向にあるが、堀江氏は「数じゃない」と切り捨てた。

 堀江氏の説明はこうだ。「例えばTwitterでフォローしている人で、AKBのアイドルがいる。彼女の発言を信頼しているわけじゃなくて、単に好きだからフォローしているだけ。だけど、竹中平蔵さんをフォローしているとする。経済分野でものすごく信頼していて、彼のやっていること50%ぐらいは正しいと思っている。だけど、森卓(森永卓郎)さんはTwitterをやっていないと思いますが、僕の場合は信頼度はゼロ%。でも、そういうのを誰も可視化していないでしょう。10個ぐらいの分野を格付けしていくことによって、その人のニュースは大きく表示されるとか、経済だったら森卓さんのものは表示されないとか。信用のネットワークを作るということ」

「これはニュースアプリのプロトタイプの話。いまだとニュースアプリだったら、グノシーとかLINENEWSとかYahoo!ニュースとかいろいろある。グノシーは独自のアルゴリズムで自分の欲しそうな情報を出してくれるタブがあるが、それでもちょっと不満。僕がいったしくみを応用してアプリをつくると、理想的なニュースのカスタマイズができるんじゃないか」と提案した。

 誰の発言を信用すべきか、すべきでないのか──。ますます利用者側にも情報を判断するスキルが求められることになる。山下氏は「評価する人やレコメンドする立場の人もでてくるかもしれないし、評価をまとめてくれる人が現れるかもしれない」と可能性を語った。

“普通の人”ができること--ネットでの情報発信

ウェザーニューズが提供する気象予報の舞台裏
ウェザーニューズが提供する気象予報の舞台裏

「震災があってから、ネットと関わる距離が自分の中では変わった。これまでは遠巻きは遠目で見ていて、不信感もあった。だけれど、こんなに同じように自分と同じような感覚で見ている人がたくさんいる。思っていることは一緒なんだなと」──木島氏は打ち明ける。

 有名人でもなく、特別な知識もない“普通の人”にできることは何か。


 堀江氏は、「できることはたくさんある。例えば今いる場所の様子をInstagramにアップする。それでも役立つと思う。#earthquake(地震)とか#emergency(緊急時)などのハッシュタグをつけたら、それらを集めてサイトができる。普段は自宅を特定されないために位置情報をオフにしてる思うが、オンにしたらジオタグが付くので自動的にハザードマップができる。もし10万人がそれをアップしたら、リアルタイムなハザードマップが出来上がる」と提案した。

 一方で、石橋氏は「ウェザーニューズはそれに近いことをやっている。家が液状化で倒れた様子など、4万通ぐらいの情報が来た。でもこれは普段からやっていれば(情報を送信)できるが、いざとなると、なかなか急にはできない」と実感を語る。

 それに対し堀江氏は、「ネット避難訓練を自治体や学校ですればいい」と提案。また杉本氏は「デバイスがキーになる。スマートフォンを持っていることによって(命が)救われるかもしれない」とした。

「自分の情報なんか役に立たない」--思い込みを捨てよ

災害時に投稿することが「減災」につながるとの回答は73%に
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一方で、投稿したことがないという人が6割を超える
一方で、投稿したことがないという人が6割を超える
減災意識の調査結果
減災意識の調査結果
災害対策や非常食は?--震災後の意識
災害対策や非常食は?--震災後の意識

 ウェザーニューズでは、全国3万人を対象にした減災意識の調査結果を発表した。それによると、SNSへの投稿は被害軽減につながると7割が認識するも、投稿経験者は2割以下だったという。

 これについて堀江氏は「自分の情報なんか役に立たない、と思っている人も多いと思う。避難訓練に取り入れたらどうかという提案をしたが、一人一人の情報によって全体を俯瞰(ふかん)できる。スマホなどを使って、災害時にいかに自分が生き延びるために、他人が生き延びるためにできることはなにかを教育するしかない。それが生死を分ける」と語った。

 Twitterのフォローワー少ないから意味がないと思っている人も少なくない。しかし、一人一人の情報が役立つ可能性があることを知っておく必要があるということだ。

 10年に1度の国連防災会議。10年後はもっと簡単に情報発信ができるアプリや正確な情報が得られるアプリが出ているかもしれない。「創造力をもって、これを機に10年後の減災を考えるきっかけになれば」と語り、石橋氏は会を締めくくった。

  • メディアの使い方。ネットサイトは30%

  • ニコ生アンケート。災害時の情報入手はネットが55%

  • 震災後の意識変化

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