ネットのチカラで減災へ--災害時、ネット住民に何ができるのか。堀江貴文氏の提案 - (page 2)

その情報は信用できるのか?--求められるネットリテラシー

堀江貴文氏
堀江貴文氏

 NHKでは、災害時にソーシャルのウオッチを強化しているという。「最近では御嶽山の噴火が特長的だった。取材班も山に入れない。ソーシャル上でつかんだ情報を取材の参考や放送の参考になる。広島の土砂災害の時も、ソーシャルで上がった写真は貴重な取材の材料になった。もちろん、写真を撮ってる場合じゃないケースもある。安全が確保されているならばというスタンスが必要」(山下氏)と語った。

 また大雪でトワイライトエクスプレスが立ち往生したことにも触れ、「ネットは“集合知”だと思う。記者らが及ばないところの情報もある。そこから新しい報道の姿に移行しているのかもしれない」と実感を語った。

 堀江氏は、「一次情報はそこにいる人になる。インフラ強化とともに、リテラシーの強化も促進しないといけないのではないか。『通信は命と関係ないだろう』という人もいるが、じつはライフライン。電波は僕から言わせてもらうと無駄遣いしている。タクシー無線で使用している周波数帯も、あれはケータイでもいい。空いた帯域をスマートフォンに使いましょうという動きがあるが、広域に届く電波帯域を開放して、緊急時に使えるようにし、助けて、SOSというエマージェンシーなテキストだけでも送れればいい」と提案した。

 一方で、1億総記者とも言える時代。ネットならではのデマや遊び半分のいたずらもある。それに対しどう対応していくべきか。

ニワンゴ代表取締役社長の杉本誠司氏
ニワンゴ代表取締役社長の杉本誠司氏

 杉本氏は、「これからも(デマは)きっとある。ただネットは道具だから、正しい使い方を身に付けていかないといけない。デマがあるからダメといっても仕方がないので、スクリーニングや見極められる能力も必要。使い方の基礎的な部分」と見解を示した。

 堀江氏は、「じゃあNHKだけ信じていればいいのか?マスメディアが100%正しいかというとそうでもない。あとでこそっと訂正があったりする。ウソを聞いた人が訂正を見るかというと見ない確率のほうが高い」とマスメディアの在り方にも切り込んだ。

信頼性の高い情報をどう入手するか?--ビットコインのしくみを応用した堀江氏の提案

 災害時においては、結果的に誤った情報が出回ることもある。例えば救援が必要という情報があって、救援が行われた後も広がっているなど、最初は正しくても後に事実と異なるというケースだ。

 東日本大震災では、多くのフォロワーを持つ有名人らがTwitterで震災関連情報をリツイートするなどし、ハブとしての役割を果たした。堀江氏もその一人で、24時間眠らずにリツイートし続けた結果、Twitterからロボットと勘違いされアカウントをロックされた経験を持つ。「よかった、これで寝られるわーと。そしたら、Twitterの中の人にいっておきました!リツイート制限ありません!って部下がいう(笑)」とエピソードを明かした。

 情報の拡散の在り方について堀江氏は、「僕も100%正しいことはできないし、精査することで必要な情報を拡散しないことの方が問題。もし間違っているときはすぐにリプライが飛んでくるし、否定も早いので、正しい情報に修練されていく方向にはある。インターネットのいいところでもダークサイドでもあるのは、自律的にハブができていくこと。この人は信頼できそうだ、この組織は信頼できそうだ。皆が自分で判断してそこに情報を求めにいくのがインターネットのあるべき姿だと思う。それとは別に、従来型のマスメディア、行政がある」と指摘した。

 また「将来は自立分散型のシステムが勝っていくのではないか」と語る。例としてビットコインを挙げた。

楽天・三木谷氏とPayPal創業者ティール氏が有望視する「ビットコイン」のチャンス
楽天・三木谷氏とPayPal創業者ティール氏が有望視する「ビットコイン」のチャンス

「ビットコインは自立分散型の通貨のシステムで、中央銀行がいらないしくみ。世界中で使われ始めているもの。テクノロジのキーになるのはブロックチェーンと公開鍵暗号方式。通貨の情報だけではなくて、契約とか人と人との関係、モノとモノとの関係を記述できるようになっていて、ネットワークの参加者自体がオーソライズ(認証)するしくみ。そのしくみをつかって、誰を信頼するのかというようなしくみができそうな気がする」と提案した。

「例えば、あらかじめ防災に関して信頼する人を決めておく。バシさんはウェザーニューズの取締役で、知識がありそうだから信頼しよう。だからバシさんに0.5票、信頼している杉本さんにも0.5票。そしてバシさんもまた同様に絶対信用できる10人に委任しているとする。1ぐらいは自分で考える。その結果を、僕に0.5票分ぐらいくれて、杉本さんにも0.5票分くれて──という分散型ネットワークが作れたら、例えばこの2人しか信頼の置ける人がわからなくても、かなり確度の高い情報が僕にも入ってくるようになるのではないか」と説明する。

「信頼関係にはウソをつきにくいし、命に関わる減災であればウソをつく確率も少なくなる。それを日常のネットワークにつなげるということ。それが検索なのかサーチなのか。行き渡ることで、信頼性の高いコミュニティにたどり着くことができるかもしれない。見つけることや、お互いタグを付け合う行為ができるようになること。その情報にたどり着くこともネットのリテラシー。お互いにタグを付け合う行為ができる状態になることも、ネットの使い方で求められること」と語った。

CNET Japanの記事を毎朝メールでまとめ読み(無料)

-PR-企画特集

このサイトでは、利用状況の把握や広告配信などのために、Cookieなどを使用してアクセスデータを取得・利用しています。 これ以降ページを遷移した場合、Cookieなどの設定や使用に同意したことになります。
Cookieなどの設定や使用の詳細、オプトアウトについては詳細をご覧ください。
[ 閉じる ]