すべてが予定どおり順調に進めば、「Standard-A」「Standard-B」「Mini-B」「Micro-B」「Micro-B USB 3.0」「Standard-B USB 3.0」と、目が疲れるほどに増殖したUSB規格が一掃されるだろう。現状はまさに、「標準の素晴らしい点は選択肢が多すぎること」と皮肉られるとおりだ。
USBに起きつつある変化のために、Appleなどの企業が同規格をさらに採用することが可能になるが、シンプルさはそうした変化の1つにすぎない。もう1つのメリットが、「USB Power Delivery」(PD)と呼ばれる技術だ。スマートフォンやタブレットよりも大容量のバッテリを使用するデバイス(ノートPCなど)の充電が速くなる機能である。
USBで動画データを送信することも可能だ。ただし、必要なケーブルやアダプタを購入し、HDMIなどメインストリームのビデオコネクタに接続する必要がある。
USBの用途がこのように広がるのは、USB 3.0で5Gbps、USB 3.1で10Gbpsとデータ転送速度が向上しているおかげだ。こうした変化のすべてによって、「Universal Serial Bus」がさらに「Universal」(普遍的)と呼ぶにふさわしいものになっている。
USB Type-Cと無線接続に明るい未来が開けている一方で、取り残されることになったのはThunderboltだ。これはIntelが開発した高速コネクタで、ハードドライブや大容量ストレージアレイ、モニタ、ドッキングステーションなどを接続できる。
Thunderboltは2011年にAppleのMacBook Proに搭載されて以来、トップエンドの「Mac Pro」で中心的な役割を果たすなど、Macが刷新されるたびに採用されてきた。だが今回のMacBookは、AppleもThunderboltについて業界と同じ見解に達したことを示唆している。搭載する価値はない、ということだ。
Thunderboltを採用した企業はAppleだけではないが、初期からの味方だったAcerは脱落してしまった。2015年になって、Dellはモバイルワークステーション「M3800」にThunderboltのサポートを追加したが、このマシンはMacユーザーを巧みに誘導して最小限の落差でWindows環境に移行させることを意図したものだ。
Thunderboltへの反応が芳しくないのは、2012年の時点で同接続技術についてIntelが抱いていた大きな期待に反している。「もっと長期的に、3年から5年のスパンで考えて、これがほとんどのPCで広く導入されることを当社は目標にしている」。IntelのThunderboltマーケティングおよびプランニング担当ディレクターJason Ziller氏は、当時のインタビューでこう語っていた。
その期待とは裏腹に、USBの優勢と機能の発展によって、Thunderboltが主流になる可能性はほとんどなくなった、とFeibus氏は述べている。
Appleの「Pro」ラインアップMacでは、しばらくの間Thunderboltのサポートは続くだろう。特に、20Gbpsというデータ転送速度は、メガピクセル級の膨大なデータをやりとりする動画編集の際に威力を発揮するからだ。それ以外の一般ユーザーにとっては、USB 3と無線技術で十分だろう。
ThunderboltがメインストリームのUSBに敗れるとしても、Appleには勝ちにつながる魅力的な技術がまだまだある。
新型MacBookは何と言っても、低電力で高解像度の「Retina display」、さらに高度になったトラックパッド、「段状」バッテリを、最も厚い部分でもわずか13.1mmという本体に収めており、MacBook Airよりも薄くなっている。Moor Insights & StrategyのPatrick Moorhead氏によれば、退屈になった800ドルのMacBook Airが売れるとしても、このようなイノベーションはAppleに貢献するという。
「同社の市場シェア拡大は続くだろう。購買欲をかき立てる製品を用意すると、それがユーザーの目的に合っていない場合でも、他のすべての売り上げにつながる」(Moorhead氏)
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。
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