IDCのアナリストTom Mainelli氏は、「確かに不満の声は多いだろうが、それは進歩の代償だ」と述べている。ビジネスの観点から見ると、そうした進歩を積極的に推し進めるAppleの姿勢が、最終的には勝利につながる。その犠牲になるのが競合他社だ。
「誰かが先鞭をつけなければならない。そして、今回のような設計上の決断を下すからこそ、Appleはこれほど熱狂的な支持を受けているのではないだろうか。この熱狂的な支持が、PC市場の他社に実現できない利益をAppleにもたらしている。他のベンダーからは、顧客の反対が強すぎてそんなことは許されない、という妥当な意見が出てくるだろう。そうした意見はおそらく正しい」(Mainelli氏)
コンピュータ業界に共通するジレンマとして、新しいテクノロジはユーザーに受け入れられなければ採用が進まないが、ユーザーはテクノロジが広くサポートされるまで受け入れない、という問題がある。TechKnowledge StrategiesのMike Feibus氏によると、このニワトリと卵の問題を解決するに当たってAppleほど「適任の企業はない」という。
同氏は「Appleマニアはいつもどおり、何であろうと買うだろう」と述べる。こうした顧客とAppleの影響力によって、業界は1ポートという制限を回避するアクセサリや製品を作り始めることになるという。
したがって、長い目で見ると新型MacBookがきっかけとなって、ワイヤレスデバイスやUSB接続の高度なドッキングステーションといった製品が今後さらに多く登場するはずだと、Feibus氏は語る。
Appleは、さまざまな作業を処理できるか気にしているユーザーに対しても、答えを用意している。今までどおり、Appleの製品とサービス一式を使ってほしいということだ。
「テレビでコンテンツを見たいなら、『AirPlay』がある。ファイルを共有したいときは、『AirDrop』を使えばいい。MacBookから携帯電話ネットワークを利用したければ、『iPhone』でホットスポットを開始できる。のんびり音楽を聴きたいときには、Beatsのとてもクールなスピーカーやヘッドホンを使って無線で楽しめる」(Schiller氏)
とはいえ、業界全体が同じ方向に向かいつつある。Microsoftの最新キーボード「Designer Bluetooth Desktop」は、ノートPCの内蔵Bluetoothワイヤレスリンクを使うため、以前の「Sculpt」キーボードのように、専用の無線コネクタでUSBポートを1つ埋めてしまうことがない。カメラもワイヤレスリンク内蔵型が増えており、USBケーブルやメモリカードリーダーが不要になっている。また、タブレットやスマートフォンの普及によって、ケーブルを使わずにネット接続サービスでデータが同期されるようになった。
しかし、現在のケーブル接続されるデバイスすべてを扱うには、別の選択肢もある。MacBookを買わないということだ。もっと多くのデバイスを接続する必要のあるユーザーは、AppleのMacBook Proなどを選べる。多数のポートを搭載するWindows PCなら、選択肢は無数だ。
幸い、Windows PCユーザーもこの革新的な技術を利用できるようになるだろう。USBは業界標準だからだ。つまり、多くの企業に、互換デバイスを開発してWindows PCをサポートする動機が十分にあるということだ。言うまでもないが、他にもスマートフォン、タブレット、自動車など、データや電源の接続が必要な多くの製品向けに互換デバイスが登場するだろう。主にMacにしか対応しないデバイスとは異なり(たとえばハードドライブメーカーなどがThunderbolt対応を考えていた場合のように)、USBはあらゆるデバイスに使用されており、新しいType-Cコネクタも広く採用されるはずだ。
Type-Cコネクタ(Appleは「USB-C」と呼んでいる)は、「Android」スマートフォンでおなじみになったMicro USBポートと同じくらい小さい。USB Type-Cは旧世代のUSBと違って裏表がないため、差し込むときの向きを気にする必要がない。USB Type-CがPCやスマートフォン、カメラなどのデバイスに普及すれば、両端がType-Cコネクタになったケーブルが一般的になるだろう。
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