グーグルが2月26日に開催したイベント「Google for モバイル アプリ」で、ミクシィ代表取締役社長の森田仁基氏とメルカリ取締役の小泉文明氏が、両社の注力サービスにおける“品質重視のビジネス戦略”を語った。
2015年3月期第3四半期の売上高が300億円を超えるなど、ミクシィの躍進を支えるスマートフォン向けゲーム「モンスターストライク(モンスト)」。2013年10月に公開された同タイトルは、2014年10月から北米版や韓国版、中国版と海外向けにも次々にサービスを開始し、世界累計の利用者数は2300万人を超えている。
一方のメルカリは、2月2日、フリマアプリが約1年半でダウンロード数1000万件を超えたことを発表。出品数は1日あたり数十万品、流通総額は月間数十億円に達しているという。また、2014年9月に開始した米国でのサービスも順調で、すでにダウンロード数100万件を超えているそうだ。
双方に共通するのが、使いやすさ、わかりやすさを重視し、無駄を省いたシンプルなUIを追求していることだ。
モンストは、リリース時はスマホRPGのスタンダードフォーマットだったが、レイアウトの変更やデザインのブラッシュアップを重ねて現在の画面に至っている。また当初はアスペクト比を固定していたが、複数のデバイスで快適に遊べるようにマルチ解像度に対応させた。
森田氏が「一番大きなトライ」として挙げたのは、画面下部の左から2つめの「クエスト」アイコンをなくしたこと。初心者ユーザーに対して「何をすればいいのか」をわかりやすくさせるための工夫という。
画面下部のアイコンは、どの画面からでもタップできる“ショートカット”のようなものだ。「クエストアイコンがなくなったことは、既存ユーザーからしてみれば、ある種の改悪になる。ユーザーが増えた時期の変更だったため、勇気のいる判断だった」と森田氏は振り返る。
そのほか細かな点では、キャラクターデザインも刷新したり、端末のスペックによってゲーム内の演出のレベルを切り替えられるようにしている。「プレイ中にアプリが落ちるのが一番ダメ。スペックによって、アクションの演出を抑える機能を実装し、その対策をした」(同氏)。
メルカリは米国版と日本版のUIを統一している。小泉氏は「今後、グローバルで統一したデザインを各国で提供していくことを考え、文字を大胆に減らし、直感的にわかるシンプルなUIを選んだ」と説明する。社内では「日本人からすると、説明が足りないと感じるのではないか」と懸念する声も上がったそうだが、米国ユーザーの感性を優先した。
結果、UI刷新後に日本のユーザーから文句を言われることはなかったそうだ。「GoogleやFacebook、Twitter、Instagramなどはすべて米国のサービスで、あまり説明文がないものの十分使いこなせている。それと同様に、変に文字で誘導せずに、ビジュアルでいかに誘導できるかを考えた」(小泉氏)。
そのほか、画面左上のメニューボタンや、縦や横へのスライド操作が可能なことに気付かないユーザーがいるため、最低限必要な要素に絞ったチュートリアルを用意したり、わかりやすい目印を付けたりといった改善をしたという。
「ユーザーが迷わないように、いかにシンプルにするかが大事。シンプルにしてもユーザーは付いてきてくれる傾向がある。ビジュアルですべてが判断できるUIに変わっていけばいくほど、グローバルに対応しやすくなるメリットもある」(小泉氏)。現在は「さらにシンプルにする」方向で話が進んでいるそうだ。
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