ソニー、ビデオ&サウンド事業を分社化--第2次中期経営計画を発表

  • ソニーグループ連結業績推移

 ソニーは2月18日、2015~2017年度までの3年間における中期経営方針説明会を開催した。最も重視する経営指標にROE(株主資本利益率)を据えたほか、エレクトロニクス各事業の分社化、新経営体制などを発表した。


ソニー代表執行役社長兼CEOの平井一夫氏

 説明会には代表執行役社長兼CEOの平井一夫氏が登場。「PC事業の収束やテレビ事業の分社化を実施し、構造改革を進めてきた。中でもコスト削減は、本社で計画通りの30%、販売会社で計画を上回る20%の削減ができる見込み。加えて本社の構造改革では組織数などを削減することで意思決定の速さと組織間の連携強化が進んだ。小さな本社の効果を実感している」と3年間を振り返った。

 第2次中期計画では「高収益企業への変革」をテーマに、(1)一律には規模を追わない収益性重視の経営、(2)各事業ユニットの自立・株主視点の重視、(3)各事業の位置付けの明確化――3つの方針を掲げる。

 その中で、最も重視する経営指標にROEを据え、2017年度の経営数値目標をROE10%以上、営業利益5000億円以上と発表。「以前は売り上げ規模の拡大をすべての領域で狙っていこうと、売上高、利益率の議論になりがちだった。しかし各事業領域でそれぞれ違うアプローチの仕方があるならば、ROEを取り込みそれぞれの領域にあった経営をしてもらうほうがより適していると判断した」と、ROEを最重要数値に据えた理由を述べた。

 事業ポートフォリオについてはデバイス分野、ゲーム&ネットワークサービス分野、映画分野、音楽分野の4つを「成長牽引領域」、イメージング・プロダクツ&ソリューション分野、ビデオ&サウンド事業を「安定収益領域」、モバイル・コミュニケーション分野、テレビ事業を「事業変動リスクコントロール領域」の3つに位置づける。

 積極的な設備投資を続けているデバイス分野、PSNの顧客拡大に注力するゲーム&ネットワークサービスといった分野で、売り上げ成長と利益拡大を実現させる一方、カメラやオーディオなど、今後市場規模の大きな拡大が望めない分野については「着実な利益計上とキャッシュフロー創出を目指す。市場全体は大きく拡大しなくても一定規模の市場は残ると考えている。すでにミラーレス一眼カメラやハイレゾオーディオなど、新しい付加価値を持った商品提案ができており、実績も出てきている」と現状について話した。

 モバイルコミュニケーション分野とテレビ事業については、「これら事業の変動性や競争環境を踏まえ、リスクの低減と収益性を最優先にしていく。いずれも価格競争が激しく、さらなるコモディティ化が進むだろう。しかしソニーが得意とする技術やデバイスにより差異化が図れる分野」と説明した。

  • 成長牽引領域

  • 安定収益領域

  • 事業変動リスクコントロール領域

 ソニーが次に目指すのは継続的に収益を挙げるリカーリング型事業の強化だ。その代表格は、特定の顧客と継続した関係を気付き安定した収益を生み出す「金融分野」。加えてゲーム本体を購入することで、継続的にソフトの収益を伸ばすPlayStationビジネス、交換レンズを複数回求められているデジタル一眼カメラなどもリカーリング型ビジネスの一部だと紹介した。また、新規領域としては「中期計画よりも長い時間軸で取り組む」とした医療事業を挙げ、2015年度中に最初の商品を市場導入できるよう進めているとした。

 組織変革については、2014年7月にソニービジュアルプロダクツを発足し、テレビ事業を移管したことに続き、エレクトロニクスの各事業の分社化を進めていくことを発表。10月1日をめどにビデオ&サウンド事業を切り出し、独立事業会社として運営していくことを明らかにした。

 ビデオ&サウンド事業は「ウォークマン」などを担当する事業部。2014年にホームエンタテインメント&サウンド事業本部を再編し、ビデオ&サウンド事業本部を新設された部署になる。そのほかの事業については分社化のタイミングは発表されなかったが、順次進めていくとした。

  • 新しい人事の体制

 また、4月1日付で現代表執行役EVP CFOの吉田憲一郎氏を代表執行役副社長兼CFOに、現執行役EVPの鈴木智行氏を執行役副社長に就任する役員人事を発表した。

 平井氏は「ソニーはお客様に持続的に感動を届けられる高収益企業の実現を目指す。2014年度まで第1次中期計画のテーマがソニーの変革であったとするならば、第2次のテーマは利益創出と成長への投資。ソニーの復活をかなえられるよう、手を緩めることなく改革の計画と実行に邁進する」とした。

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