ベンチャーとドコモが共創する「Villageアライアンス」--各事業部の狙いとは - (page 3)

市場環境の変化に合わせた新しい音声サービスのビジネスモデルを

 「音声を活用した新たなサービス/ビジネスの提案」をプレゼンしたスマートライフ推進部コミュニケーションサービス担当の石森大基氏は、テーマの背景について「VoLTEの導入、音声定額プランの開始、コミュニケーション手段の多様化といった市場環境の変化の中で、新たな音声利用のビジネスモデルを生み出したい」と説明。音声通話にとどまらず、デバイスの多様化やコンテンツを組み合わせた可能性を模索したい考えを示した。

  • テーマの狙いを語る石森大基氏

 石森氏は参考として海外のビジネスモデルを紹介。スペインのTelefonicaが展開する「Tu Go」は、アプリをダウンロードしたスマートデバイスやPCなどの端末最大5台で同一の携帯電話番号を共有し、音声通話やテキストメールを利用できるようにするというサービス。また英国の「Thrutu」というサービスは、通話中に自分の端末の画面と相手の端末の画面を同期し、画像を共有してメモを書き込んだり、位置情報を確認したりできる。

 こうした事例のように、ドコモの音声ネットワークを活用し、電話機にとどまらない新たなデバイス、通話にとどまらない新たなコンテンツ、対人にとどまらない新たな接続先といったアイデアを活かして、新しい音声利用モデルを生み出していきたいとした。


新たな音声サービスを生み出していきたい

ひとつのアプリが、世界の医療を変える

 法人ビジネス戦略部メディカルICT推進室メディカルICT推進担当主査の大畠巧氏は、「医療・介護従事者を支援するモバイルサービス」について説明した。

  • “ドコモと医療”の関係を語る大畠巧氏

 医療分野における情報システムは、これまで各施設に閉じた利用にとどまっていたが、病院・介護施設・自治体をクラウドで結んで地域で包括的に患者をケアしていくというICT化が加速。ドコモはモバイルネットワークの利便性を活かし、救急医療向けの「MENU119」、医療従事者間コミュニケーションアプリ「JOIN」、訪問看護・介護向けの情報共有プラットフォーム「けあふる君」などのソリューションを国内外の医療従事者や医療施設などに提供し、医療分野への継続的な価値の提供を続けている。「“ひとつのアプリが世界の医療を変える”をスローガンに、本気でやっている。社会的な関心も高い」と大畠氏は語る。

 今回の協業では、LTEや3Gなどのモバイルネットワークを活用して遠隔性、即時性が提供できるサービスをベンチャー企業と考案したい考えだ。「新しいサービスは企画、開発、提供までのスピードが重要だ。そのためにベンチャー企業のスピード感や独創性に期待したい」と大畠氏。サービスが実用化した際には、全国の法人営業チャネルや法人向けの料金回収スキームを活用してビジネスモデルを生み出していきたいとした。「産学連携、産官学連携、医療機関との実証研究なども視野に入れた企画開発も模索していきたい」(大畠氏)。

  • 医療分野のICT化が加速している

  • ベンチャー企業と協業しスピード感をもってサービスを開発したい

クラウドストレージの新たな楽しみ方を生み出したい

 最後に登壇したコンテンツビジネス推進部 セキュリティ企画担当課長の中村肇氏は、同社が展開するクラウドストレージ「データ保管BOX」の新たな活用法を協業によって生み出す「オンラインストレージをより活用してもらうための連携サービス」というテーマについて説明した。

  • データ保管BOXの概要を説明する中村肇氏

 中村氏によると、大容量ファイルの保管や、家族や友人との共有ができるマルチデバイスに対応したデータ保管BOXは、ドコモユーザー向けに提供を開始して以降ユーザー数、アップロードファイル数ともに順調に増加している一方で、“データを保存する”という枠を超えた活用シーンの創出に課題を持っているのだという。現在はコクヨの「CamiApp」をはじめ9つのアプリと連携しているが、オンラインストレージを活用できる連携サービスをベンチャー企業と創出し、新たな楽しみ方をユーザーに提案したい考えだ。

 例示された“プロゴルファーによるゴルフスイング指導サービス”は、スマートフォンに導入した専用撮影アプリでゴルフスイングを動画撮影し、データ保管BOXを経由してプロゴルファーに動画を共有。それを観たプロゴルファーからメールなどでアドバイスが受けられるというものだ。

 ユーザーの満足度向上や新たな楽しみにつながる連携サービスのアイデアであれば、ジャンルを問わずに幅広く募集するという。「データ保管BOXは利用者数は増えているものの、楽しい利用シーンが生み出せていない。ベンチャー企業と連携アプリ、連携サービスを一緒に作って、サービスをさらに盛り上げて行きたい」(中村氏)。

  • ドコモユーザー向けに提供しているデータ保管BOX

  • サービスを活用できる新たな楽しみ方を生み出したい

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