NTTドコモ・ベンチャーズは11月12日、インキュベーションプログラム「ドコモ・イノベーションビレッジ」の第3期DemoDayを開催した。
ドコモ・イノベーションビレッジでは、ドコモのグループ社員や起業家、ベンチャーキャピタル(VC)といった社外メンターによるメンタリング、転換社債引受による500万円の資金提供などを通じた起業支援プログラムを展開している。第3期は6月からプログラムを開始し、開発のブラッシュアップを行う「ビレッジ・ブートキャンプ」と「ビレッジ・プログラム」という2段階のステップで約4カ月半のプログラムが実施された。
DemoDayでは、冒頭にNTTドコモ代表取締役社長の加藤薫氏が挨拶し、「今回で3回目のドコモ・イノベーションビレッジ。ベンチャーとは、自身がもつ好奇心をもとに何度も挑戦する精神を持つ人たち。ステップを踏み成功に向けて取り組む姿勢は、私たちにとっても刺激になる。彼らのプログラムの成果をぜひ見てもらいたい」と語った。
選考に通過し、約4カ月半のプログラムを経験した4チームとそのサービスを紹介しよう。
Particular Designが提供する「OTON GLASS」は、失読症の人のためのウェアラブルデバイスだ。健常者が普段の生活のなかで何気なく見ている文字が、ぼやけたり認識間違いをしたりする失読症は、日本で280万人、米国で1900万人の患者がいるという。
OTON GLASSは、文字認識が難しい失読症の人のために、メガネを通して認識した文字を骨伝導によって音声で読み上げてくれる機能を搭載。すでに、ユーザーテストを実施できる、持ち運びが可能なプロトタイプのメガネが完成しているという。今後は文字認識の精度を向上させ、2015年12月の販売開始を目標にしている。
「Liquid」は、指紋認証のASPを提供するサービスだ。指の表面指紋を使う一般的な指紋認証技術とは違い、指の深層にある指紋を認証することで、偽造を防止する技術を開発。慶応義塾大学と共同で研究開発をしており、すでに特許出願中だという。
Liquidが提供する認証センサーをPCなどに接続するだけで導入できる。指紋によるセキュリティ認証のみを行いクレジットカードやパスワードなどの情報は紐付けないため、仮に指紋情報が漏えいしても、クレジットカードの不正利用などのリスクは防げるとしている。
各種ポイントカードやクレジットカードの発行の煩わしさを解消し、さまざまなサービスにおける認証を簡易化することを目的としている。まずは各種イベントなどで普及を始め、その後ポイントカードを発行するパートナー企業との連携、オンライン認証や空港対応などを予定している。
「MoneySmart」は、節約や資産運用をしたいユーザーではなく、より一般的な家計簿を利用したいユーザーに向けて快適な家計簿サービスを提供する。たとえば、数値だけのレポートではなく、誰のために使ったお金か、また使ったお金が無駄遣いだったのか、それとも価値があったのかなどがチェックできる。さらに、支払先のマッピングなど、独自のお金管理レポートの工夫がなされている。
9月にリリースし、1カ月半で3万件以上のダウンロードを達成。3カ国語に対応し、グローバル展開を目指している。今後は、ユーザーインターフェースの改善やレポートの充実、支出データや銀行口座の集約などを図っていくという。
「ウンログ」は、うんちで健康を管理するアプリだ。うんちの色や形、大きさ、匂い、お腹の張りを記録し、それらの状態から健康度合いをスコアとして表示。食事記録アプリとの併用で、うんちと健康との関係を把握できる。すでに20万ユーザーを抱え、アクティブユーザーは4万人を超えているという。
今後は、アプリの認知向上のために、ウェブメディアや他社アプリとの相互集客を図るほか、赤ちゃんやペットなど家族利用のための新アプリも開発し、幼稚園や保育園、病院や介護施設などの法人利用の推進を図る。さらに、健康情報プラットフォームビジネスへの展開も考えており、2015年には健康食品のECサイトやオンライン健康相談窓口を開設。2016年には腸内細菌DNA解析サービスの提供も予定している。さらに、ビックデータ解析による健康データサービスへの展開も視野に入れている。
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