スマートライフ推進部 ビジネス基盤推進室 NFC基盤担当主査の大西浩喜氏は、「おサイフケータイ機能搭載のウェアラブルデバイスおよびデバイス連携アプリケーションの開発・製造」というテーマについて説明した。
ドコモが日本で初めて実用化したおサイフケータイは、サービスの提供が始まってすでに11年が経過。通信キャリアの垣根を越えて一般的な技術となり、Suicaなどの交通系サービス、WAONなどの電子マネー、ペーパーレスチケットなど幅広いシーンで活用されている。
大西氏は、このおサイフケータイというプラットフォームの可能性について、「“大手企業でないと(おサイフケータイのサービスに参入)できない”というイメージが強いが、ベンチャー企業にもビッグチャンスがあるのではないか」と話す。その可能性のひとつとして、おサイフケータイの技術がリストバンドやスマートウォッチといったウェアラブルと組み合わさることで、新たなサービスが生み出せると考えているという。
「おサイフケータイは社会インフラになっており、質・量ともに巨大なマーケットになっている。一方で、ウェアラブル市場はこれから大きな可能性を秘めている。ウェアラブルの領域はデバイスメーカーがコア技術を整えつつあり、個人と法人向けに豊富な利用シーンが生まれるのでは」と大西氏はその可能性について語った。
ドコモで事業創出プログラム「39Works」を担当しているイノベーション統括部 事業創出・投資担当課長の山田和宏氏は、「ネットワーククラウド技術のビジネス化」というテーマを紹介。大規模データ解析など「設備を所有するには投資規模が巨大」「ピーク以外の遊休率が高くなる傾向がある」という傾向を持つ需要をまかなうためにさまざまな領域でクラウド技術の活用が進んでいるなか、ドコモのネットワーク設備を活用して新たなビジネスを生み出すことが課題だ。
山田氏は、ネットワーククラウド技術の活用事例として、ドコモのM2Mプラットフォームや海外企業の事例などを紹介。たとえば米国の「ItsOn」というプラットフォームは、顧客が個別のサービスごとに料金プランを細かく選択したり、料金の一部をサービス提供者側に課金したりといったことができ、利用者のコスト最適化やスポンサードサービスの展開などが可能になっている。
また、米Connectemのネットワークプラットフォームは、通信設備のうちEPC(Evolved Packet Core)を仮想化し、システム全体を仮想化することでIoT分野などに柔軟にサービスを提供できるようにする。今回のテーマではこうした事例を参考にしながら、既存のビジネスモデルを転換させるようなポテンシャルを持ったベンチャー企業と協業し、新たなビジネスモデルの構築を模索したいとしている。
ドコモの料金プランの中でも、ウェアラブル端末やヘルスケア製品など通信モジュール内蔵の用途限定デバイス専用の料金プラン「デバイスプラス」を担当するM2Mビジネス部コンシューマM2Mビジネス・IoT推進担当の大薮赳氏は、「趣味に関わる「楽しみ・喜び」をテーマとしたIoTデバイス・サービスの開発」というテーマについて説明した。
大薮氏によると、ドコモは3月に開始する「家のあんしんパートナー」をはじめ、多くの人にとって日常生活に欠かすことのできない“安全・安心・便利”な製品を、市場規模が大きく幅広いユーザー層が期待できる市場に投入している。しかし、今回のベンチャー企業との協業では趣味嗜好性が高いニッチな市場に投入できる製品を模索していきたいという。
カメラ、おもちゃ、自転車、ゲーム機、自動車などがモバイルネットワークとIoTクラウドとつながることで、新たな楽しみや喜びを生み出すのが狙いだ。ベンチャー企業とはプロトタイプを制作して展示会などで共同プロモーションの実施を検討している。最終的には製品/サービスとして市場に投入するのが目標という。
「楽しいものがインターネットにつながったら何ができるのか。私たちが想像できないような世界がIoTにあるのではないか。魅力的なデバイスやサービス、ドコモのつながりやすさ、手軽な料金プランによって、新たな商品価値やビジネスモデルを生み出していきたい」(大薮氏)。
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