記者と考える社会課題の解決策--未来メディア塾 - (page 2)

井指啓吾 (編集部)2015年01月26日 16時00分

記者が考える10の課題

(1)人口減少時代に、地方をどう元気にするのか

 日本の人口はすでに2008年に減少へと転じ、2010年に1億2800万人だった人口は25年後の2040年には1億700万人あまりになると予想されている。

 2014年に注目を集めた民間の研究グループ「日本創成会議」は、全国の市区町村のほぼ半数の896自治体は「消滅可能性都市」だというリポートをまとめて波紋を広げ、安倍政権も「地方創生」を主要テーマに掲げた。人口減少はすでに私たちの暮らしにも影を落とし始めている。大都会の足元でも空き家が急増し、公共施設や下水道などのインフラの統廃合の検討も始まった。かつてない人口減少時代に突入した社会で、どうすれば地方を元気にできるのか。

(2)「都会の空き家」をどうする 東京五輪後を視野に

 全国で「空き家」が増えている。2013年は820万戸で5年前の62万戸増。空き家率は13.5%と過去最高だ。過疎が進む地方の問題と思われがちだが、増加数上位に愛知県、東京都、神奈川県、大阪府と並び、大都市圏の問題でもある。住宅の供給が依然、活発なことが一因だ。東京湾岸の超高層マンションに象徴されるように、人口の「都心回帰」が進み、郊外でも新たな住宅開発が続いている。「景気刺激策」としても期待されている。

 一方、高度成長期などに造られた戸建てや集合住宅が一斉に老朽化し、住民の高齢化も進んでいる。これらが空き家となれば、防災や防犯面、コミュニティの弱体化で地域をむしばむだろう。

 2020年の東京五輪・パラリンピックに向け、東京都心などへの投資は続くなか、「都会の空き家」を同時に考えることが「負の遺産」を残さないために必要だ。

(3)低投票率と若者の政治参加

 2014年の衆院選の投票率は、戦後最低の52.66%だった。これまで特に、若い世代の投票率が低いと言われてきたが、「選挙離れ」は他の年代にも広がっているのかもしれない。では、どうすれば投票率を上げることができるのだろうか。あるいは、選挙に行かなくても、ほかに政治に参加する、政治に関わる方法はないのだろうか。

(4)リスクと上手に向き合うには

 東日本大震災後、次に「想定外」にならないように、想定する災害規模が大きくなりました。対策に必要なお金が増える一方、使えるお金は限られている。火災や事故、病気、テロ、失業、詐欺、環境問題などのリスクもある。

 リスクばかりを考える生活は快適ではない。リスクなどあなどらず、恐れすぎずに、どう向き合えばいいのかを考える。災害の想定、さまざまなリスクの比較、世論調査、災害の風化などのデータが、それを探る手がかりになるかもしれない。

(5)2025年、病院が足りない「医療危機」を防ぐには

 日本は超高齢社会を迎え、高齢者人口が急増する首都圏などでは病院の不足が深刻になる。2025年には9万人分、2040年には17万人分の入院ベッドが不足すると推計されている。

 不足する理由は、高齢者は病気やけがで入院する率が高いため。80代の高齢者は40代の人の10倍ほど入院する率が高くなっている。ただ、病院不足には地域差があり、九州や四国では入院ベッド数に余裕がある。迫りくる「医療危機」を防ぐにはどうしたらいいのか。

(6)教育格差をICT活用で縮められないか

 家が貧しいから、女の子だから、塾が近くにないから――。さまざまな理由で、学びをあきらめる人たちが国内外にいる。その一方で、都市部では子どもの塾通いや「お受験」が加熱し、早期教育にお金をかけられる家庭とそうでない家庭の差は広がっているようだ。

 どうすれば、地域や経済、性別による学びの格差をなくせるのだろうか。たとえば、ICT(情報通信技術)を活用して格差を縮めることはできないだろうか。

(7)寄付か税金か お金の流れから社会の支え合いを考える

 私たちが暮らす社会は、さまざまな支え合いで成り立っている。その中心は、社会保障に代表される通り、税金(と保険料)で運用される国・自治体の公的な制度だ。一方、そうした「官」の取り組みが不十分なところではNPO法人や公益法人といった「民」の組織が活躍しているが、それらは民間からの寄付への期待が大きくある。

 そこへ、自らが住む市町村以外の自治体への寄付である「ふるさと納税」が手厚い優遇策で注目を集め、お金を「官」へと吸い上げていく。

 支え合いを全体として充実させていくために、どんなお金の流れを育てていくべきなのか。税金と寄付との間に位置づけられる「社会的投資」、すなわち、寄付(贈与)ではないものの金融商品のような利子・配当を求めるわけでもなく、「自分のお金が社会に役立っている」という満足感を期待するお金の流れにも注目して考える。

(8)新しい時代の働くかたちを考える

 賃金も上がって定年まで雇用される。引き換えに、長時間労働や全国転勤もいとわない……。そんな働き方が標準だった時代は幸か不幸か、終わりつつある。

 政府は雇用改革に熱心で、転職しやすい「流動化社会」を目指すそうだ。一方、長時間労働は依然として残っている。有給休暇も半分以下しかとれず、4人に1人が年収200万円以下。また約6600万人の労働力人口は、2060年には4000万人を割るとの試算もある。

 データで現状を踏まえ、これからの時代にどうしたら多くの人が幸せに働き、安心して生きていける社会になるのかを考える。

(9)ワークライフ・アンバランスを超える 両立できる社会へ

 子どもを育てながら働くことが、日本ではなぜこんなに難しいのだろう。出産後の女性の離職率は6割。働き続けたいのに、辞めざるをえないマタハラも後を絶たない。子育てにコミットしたい男性も増えているが、職場の事情がなかなかそれを許さない。

 高度成長期、働く人は「企業戦士」として24時間働くことを求められた。男性はいつでもどこでも働き、女性が育児や介護を担うというスタイルはある種、合理的だったのかもしれない。しかし、これからの時代はどうだろうか。少子高齢化で、労働人口は減りつつある。

 男女がともに、子育てだけでなく、勉強や趣味や、地域の活動にもっと時間を使いながら働けるようになったら。さまざまなバッククラウンドを持った人たちが一緒に働くことで、新しい発想がわき、強い組織になるのではないだろうか。

(10)途上国の開発問題 私ごとに感じるには

 2015年は、10年間で貧困や飢餓の撲滅や初等教育の普及、感染症の防止、乳幼児や妊産婦死亡率の低減などの実現を掲げた、国連のミレニアム開発目標(MDGs)の最終年になる。

 国際支援や自助努力で改善が見られる一方で、まだ多くの問題が残されている。日本の経済が振るわないため援助を減らすべきという意見もある。果たして途上国の抱える問題は、私たちとは関係ないのだろうか。かつて戦争で荒廃した日本は米国の支援で復興を遂げた。日々の暮らしも世界と深くつながっている。海外の出来事は決して他人事ではない。途上国が抱える問題や解決に向けた取り組みなどの情報をもっと身近なものにできないだろうか。

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