CNET Japan Live 2014 Winter

小売業の壁を乗り越えるための「シームレスリテーリング」の重要性

齋藤公二 (インサイト)2014年12月28日 11時00分
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 リテールにおけるオムニチャネルの取り組みでは、オフラインとオンラインの垣根を取り払う「ボーダレス化」が進んでいる。

 CNET Japan Live 2014 Winterで開かれた「オンラインとオフラインをボーダレスにするために必要なこと」と題したセッションでは、グランドデザイン代表取締役社長の小川和也氏をモデレーターとし、日本トイザらス執行役員 eコマース本部長の飯田健作氏と、凸版印刷メディア事業推進本部 副本部長の山岸祥晃氏が、小売の現場における実際の取り組みについてディスカッションした。


セッション「オンラインとオフラインをボーダレスにするために必要なこと」

オムニチャネルリテーリングの現状は

 日本トイザらスの飯田氏は、アクセンチュアで金融サービスを担当したあと、ウォルマートジャパンで西友のEC事業を長く手がけ、2014年から日本トイザらスのECの責任者を務める。凸版印刷の山岸氏は、2001年に電子チラシサービス「Shufoo!」を立ち上げ、現在、デジタルメディア部門を統括する立場から、次世代のウェブ活用型事業の創出、拡大に取り組んでいる。

 セッションでは、まず飯田氏が日本トイザらスが力を入れている「シームレスリテーリング」の取り組みを紹介した。シームレスリテーリングは、顧客がウェブや店舗などのタッチポイントを意識することなく、商品を購入できるようにする取り組み。店舗はトイザらス、ベビーザらス、それらの複合店を全国165店舗展開し、オンラインでは2000年に開業した本店のほか、楽天、ヤフーに出店する。

 まず、2014年4月に複合店で新プラットフォームを導入し、オンライン店舗で実店舗と同様にポイントを付与できるようにしたり、ゲスト購入ができるようにした。7月にはオンライン店舗をリニューアルし、ストアオーダーシステム、バーチャルショップなどのサービスを導入。さらに10月にはリフレッシュオープンとして、複合店でのポイント使用、クイック購入、バーシャルショップの拡充などを実施した。

 「品揃えや購入方法など、実店舗での体験とオンラインでの体験をできるだけ同じにすることを急ピッチで進めてきた」(同氏)。新しいオンラインオーダーシステムにより、実店舗とオンラインを連携させ、新しい付加価値も生み出している。これは、店舗での在庫がない場合に、店舗に設置したオンラインオーダーステーションから購入手続きをし、自宅まで配送できるようにするもの。「お客様に非常に好評だった」(同氏)ことから、対象商品を拡大し、対象店舗も2015年早々に約100店舗に拡大する予定だ。


日本トイザらス執行役員 eコマース本部長の飯田健作氏

 一方、凸版印刷の山岸氏は、Shufoo!に取り組んだ背景と現状を紹介した。Shufoo!は、紙の折込チラシを電子化して提供するサービス。紙と同じレイアウトのチラシをPC、タブレット、スマートフォン、ケータイ、テレビなどの各種デバイスにプッシュ配信できる。新聞を購読しない世帯を中心にユーザーが拡大し、2014年10月時点で月間690万ユニークユーザー、月間1億6630万PVという規模に成長した。チラシ掲載企業数は、スーパー、ドラッグストア、家電量販店など約3000社に達しているという。

 「単にチラシを電子化するだけでなく、紙と電子でレイアウトを変えたり、チラシからECサイトに直接誘導したりと、さまざまな工夫がなされるようになった。オムニチャネルに向けたさまざな取り組みが進められるなかの1つとして利用していただいている」(山岸氏)。

 山岸氏から見ると、小売業は、これまでに時間、場所、表現、コスト、チェーンといったさまざまな「壁」を乗り越えてきたが、いまは「未踏派の壁」として立ちはだかっている。そして各社が取り組もうとしているのが、商品データ、在庫データ、販促データ、顧客データなどだと同氏は指摘した。

 なお、小川氏が代表を務めるグランドデザインでも、「ガチャ」をイメージしたクーポンアプリを開発して実店舗に送客するというサービスを展開している。その際には「どう壁をつくらないか」がカギになるという。たとえば、クーポンを交換する際に店舗オペレーションが乱れてしまうと、それが壁になって顧客満足度は下がってしまう。また、データについてはDMPを構築し、顧客の属性や傾向などを把握、相互送客の効果測定などをできるようにしているが、それらは企業間の壁を取り払うための仕掛けでもある。

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