「昔は楽天が大嫌いでした」--世界へ羽ばたく人気店が「楽天市場」と歩んだ14年間 - (page 2)

井指啓吾 (編集部)2014年12月15日 09時00分

 大きな転機となったのは2006年のこと。テレビを見ていてカカオ農園の子ども達のことを知りました。アフリカでは子ども達が学校に行けず、チョコレートの原料となるカカオ豆を採るため農園で働かされているという状況でした。今までチョコレート菓子を作っていながら、そんなことは考えたことがなかったため、自分がやっていたことに対して「これでいいのか」という思いが芽生え、なにかできることはないかと考え始めました。

 そこで、まずは商品に使っていた原材料のチョコレートを「フェアトレードチョコレート」に変えました。これは原材料を高く買い取ることで、現地の人々により多くのお金を行き渡らせられる仕組みのチョコレートです。

 原材料を変えれば当然、商品の価格も上げなければならず、お客様に負担も大きくなります。しかしこの事情を説明したとき、お客様からは「そういうことだったら喜んで買います」と前向きな反応をいただくことができました。当初、年間約1トンだったフェアトレードチョコレートの仕入れ量が、現在は年間約70トンにまで増えています。

 商品を食べる人だけでなく原産国の人々も幸せになるような、そんなお店を作ろうと考えた時、実店舗でそういうことを言ってもお客様にはなかなか伝わらないものです。これが実現したのは、インターネットが自分の思いを伝えやすいものだったからだと感じています。また、フェアトレードチョコレートだけを使っているお店は、日本をはじめ世界でもそう多くありませんが、それを実現できたのもインターネットならではだと思います。

 これと同じ目的で、カカオ農園の子ども達のためのチャリティオークションも始めました。お菓子を作っていると、どうしても“割れ”や“欠け”のものが出てしまいます。いわゆる「ワケあり」「B級品」といわれるものです。商品として不完全であるため販売することはできませんが、味は販売するものと変わりません。これを一定量ためて、楽天市場のオークション機能を使って販売することにしました。

 約5年かけて500万円が貯まり、現在、アフリカのガーナに学校を建設しています。2015年初頭に完成する見込みです。オークションは毎週続けてきて、約300回実施しました。もともと廃棄していたものに価値が生まれ、それがお客様に届いて喜んで頂けて、なおかつ学校が建つ。ガーナ政府の人にも喜んでいただけて、子どもたちも待ち遠しく思ってくれている。そんな企画もインターネットならではのものだと思います。ここ数年で最も印象的な出来事です。

――2014年には実店舗を構えました。

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