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CNET Japan Live 2014 Winter

勝負は発売「後」--ユーザーとの“価値共創”が必要な理由 - (page 2)

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 では、供給側と消費者側がともに最適な商品をどのように発掘すれば良いのか。ここで供給側と消費者側が協力して価値を創造していく“共創”という発想が重要になる。「従来は、商品発売が1つのゴールだったのだが、最近では市場で商品を買ってもらったその瞬間から始まる、発売後の価値共創が要点」(同)となってきている。

 「あるブランドが支持されると、それを選択した消費者同士がそのブランドについて評価し合い、発信者側からの情報だけでなく、購入者相互間の“交信”により、ブランドが醸成され、強化されることがある」と池田氏は指摘する。とはいえ「消費者によるコミュニティなどが形成されるということは極めて困難だ。これまではいわゆる、アルファブロガーと呼ばれるような人々が発する情報が重視されるような状況だった。しかしそれだけでは限界があり、雑誌と同様の効果程度」に留まる。


 最も重要な意味を持つのはブランドへの支持(advocacy)だ。「キリンビールの一番搾りでは、ファンのコミュニティを作っており、それらの活動を通じ売り上げ増につなげている。しかし、SNSなどを通じてファンの意見を集めると、結局消費者の声にはさして見るべきものはなかったとの嘆きも少なくない。1つのブランドに非常に詳しいような人々は、せいぜい1.1%くらい。98.9%は、ごく普通の人たちだ。何らかの仮説を立て、それを検証するのであれば、1.1%の集団を探り、本音を引き出すべきだが、そのままではたいへんマニアックな結果が出る。1.1%のいわば最先端の人々から得られるのは、ヒントであり、それを検証するために、調査する対象とすべきは一般の人々だ」という。

 しかし、「これまでの手法では、真のインサイトは出てこない。調査対象に対し聞き取りをするやり方では、探りきれないことがある。言語では表現することができないものが存在する。シャンプーの例だが、供給側が、エンドユーザーの家を訪れ、リサーチャーは一緒に風呂に入り、1対1で体験を共有し、徹底的にユーザーと同じ目線になり、言語化できない気づきを得る」方法もある。


86 SOCIETY

 スポーツカーのトヨタ86のファンサイト「86 SOCIETY」では、明らかにこれまでとは異なる思想がうかがえる。「自動車という商品だけを売るのではない。焦点はライフスタイルにあたっている。購入者側が、この車を買う理由は何か。86という車だけではなく、86のある暮らしを買っているのが本質だ。その商品がもつ価値が最大化するのはいつなのか――そのような文脈で商品の価値を捉えることが重要になる。このサイトでは、“峠”というコンテンツが用意されている。86のドライバーは、峠を攻めたいとの願望があり、それに応えている。峠についての多角的な情報が網羅され、いわば峠の「食べログ」とでもいうようなメディアになっている。カスタム車も見せ合うコーナーもあるなど、86のある暮らしをエンドユーザーとともに作る上げという活動を、トヨタは実行している」といえる。

 最後に、池田氏は注意すべき点を指摘した。「共創といっても、誤解されることがあるようだ。絶対にしてはいけないことがある。まず、ユーザーに課題を丸投げすること。ヒントやアイディアの種は自分で見つけなければならない。次に、意思決定を委ねること。すべての決定はマーケッターが担う必要がある。3つ目は消費者参加型の商品開発だ。広義の価値共創は販売“後”が本番となる。最大公約数といえるような商品は売れない」

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