香港のチャットアプリ事情--ボイスメッセ多用で「まるでトランシーバ」 - (page 2)

お隣・中国のチャットアプリ事情は別世界

　それでは、中国でWhatsAppは使われているのでしょうか？　中国のインターネット環境は検閲が厳しく、FacebookやTwitterなどのSNSが使用できないことで有名です。そんな中WhatsAppはというと、現在中国ではブロックされておらず、華南エリアで香港を行き来する人の間で多く利用されています。しかし、中国でWhatsAppは最も使われているチャットアプリではありません。

WeChat

　中国本土で最も使われているチャットアプリは「WeChat」。WeChatは中国インターネット業界の巨人であるTencentが運営するソーシャルメディアで、中国を中心に世界5億以上のユーザー数を誇るアプリです。 WhatsAppがメッセージングに特化したシンプルな作りになっているのに対し、WeChatはタクシー配車や病院の予約、お年玉の送付やEC、ブログ運営など何もかもを包括しています。企業はWeChatでオフィシャルアカウントを作成でき、さまざまなマーケティング活動に利用できます。

　インターネットマーケティングの観点からは、香港と中国は別世界。WhatsAppを買収したFacebookのマーク・ザッカーバーグ氏も最近中国語を披露したりと頑張っているようですし、Facebookの今後の動向にも要注目です。

モバイルは人々の生活の中心に

　香港や中国に限らず、モバイルの波が世界に広がっているというのは周知の事実です。国連のITUの予測によると、2020年には世界で約40億人が携帯電話を持ち、インターネットに接続しているというのですから莫大な人数です。

　モバイルの中で欠かせない機能であるチャット。今回ご紹介した2つ以外にも、多種多様なチャットアプリがシェア争いを繰り広げています。海外に行く際は、現地で使われているチャットアプリをチェックして行くと、プライベートとビジネスともにコミュニケーションの幅やチャンスが広がることでしょう。

【現地の小ネタ】モバイル＆スマホといえば「先達広場」

　さて、今回はスマホアプリのトピックなので、それに関連したローカルスポットをご紹介したいと思います。

　スマホをはじめとした携帯電話を売買したいときに行く場所、それがMong Kokにある先達広場です。ここではさまざまな機種／世代の携帯電話が取引されており、新品／中古携帯の売買、修理、SIMロックの解除など携帯電話に関するあらゆることができます。筆者がボタンの壊れてしまったiPhone 4を持ち込んだときも、目の前ですぐに修理をしてもらえました。

先達廣場

　ここ先達広場で起こる面白い現象があります。それは、新機種が発売されたときの取引です。 たとえば2014年に発表されたiPhone 6、発売日にアップルストアに並んだCNET Japan読者の方も多いのではないでしょうか？

　日本の人々は早く手に入れるためにアップルストアに並ぶと思いますが、香港の人々の場合は、早く手に入れて「高く売る」ためにアップルストアに並びます。毎年モデルの需要度合いによって相場が変わるようですが、通常は早く取引をした人ほど高いお小遣いを稼ぐことができるようです。

　その他にもMong Kokにはマニアックなコンピュータやカメラが買えるスポットがいくつかあります。興味のある方はぜひ探索してみてください。

白瀧優子（しらたき ゆうこ）

アウン香港マーケティング

大阪大学法学部卒。大学在学中、ロシアでの海外インターンやカナダ留学、中米バックパック旅行などを経て海外に関わる仕事を志す。

卒業後、国内IT企業で苦手意識のあった営業をあえて経験し、IT業界と日本企業の仕組みを学ぶもやはり違うと判断し、結婚を機に退職して香港へ。

ITと営業の知識、日本人のバックグラウンドを活かしつつ、現地のマーケティングや顧客開拓のできるAUN香港マーケティングに入社、日系・ローカル双方の営業および顧客対応、自社のプロモーションや現地スタッフの採用育成等に幅広く従事。

NY発の教育機関General Assemblyによる3カ月のDigital Marketing Courseを修了し、検索エンジンマーケティングやソーシャルメディアはもちろん、ブランディングの基礎やデータ分析などを学ぶ。最新のノウハウを日々勉強中。

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