音楽用品のECサイトを運営するサウンドハウスは11月19日、これまで3年間出店していた「楽天市場」からの撤退を発表した。11月13日に楽天市場の出店店舗の振込先口座が「楽天銀行」の楽天市場支店に一本化されたことに関わるもので、楽天の対応を強く批判している。
同社によれば、楽天に対して決済口座の一本化に関する詳細の説明と撤回を申し入れたが納得できる説明をもらえず、口座の取り消しもできないと分かったことから、取引の中止を決めた。一方楽天では、この一本化の施策の目的を、現在推進している安心・安全への取り組みの一環であり、「詐欺サイトへの振込みを防ぐもの」と説明している。
サウンドハウス代表取締役の高坂昌信氏はウェブサイトに公開した文書で、楽天が一方的に決済口座を楽天銀行に一本化することを決め、出店店舗の銀行口座を勝手に開設したとし、「決済用口座としてはその口座しか認めないということは、これまでの日本の商習慣ではありえないこと」と憤りを隠さない。
さらに「国内トップのインターネット事業を営む楽天が、自社グループの利益のみを追い求め、出店している店舗に対して一方的にこのような暴挙を行うことについて、弊社では理解することも容認することもできない」と語った。
楽天によれば、振込先口座の一本化後に、楽天市場への出店をとりやめたり、同施策を批判したりしたのはサウンドハウスのみだという。
では、両社のあいだに何があったのか。楽天は「事実確認中」としながらも、両社の担当者が9月頃、同時期に退職しており、その引き継ぎの過程において、必要な情報が伝達されなかったか、または誤った情報が伝達された可能性があると説明する。
楽天ではこの施策の実施にあたり、全店舗向けに9月8日からメールや文書での告知を複数回実施し、各店舗の担当者(ECコンサルタント)による電話説明も行った。また、店舗を運営するための管理システムにもFAQなどを掲示したという。その際に「各店舗からの承諾を得た」としているが、前述した内容により、サウンドハウスとは意思疎通がうまく図れていなかったとみられる。
なお、振込先口座の一本化では、ユーザー(消費者)が商品の購入時に楽天銀行以外の他行から店舗に代金を振り込めなくなるわけではない。
店舗側への影響としては、ユーザーから楽天銀行口座に振り込まれた代金(売上)を他行口座に「毎日」送金する場合に、手数料309円がかかることなどがある。楽天銀行口座から他行口座への送金は、楽天銀行口座間であれば翌営業日には手数料無料で、楽天銀行から他銀行への送金は、毎月10日、25日の2日間指定口座への送金が手数料無料となる。
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