楽天が通販サイト「楽天市場」の健全化を推し進めている。2013年11月にセール時の不当価格表示が発覚して以来、ユーザーからの疑問や意見を受け付ける窓口を全商品ページに設置したり、二重価格表示時の元値のチェックシステムを導入したりするなど、再発防止に向けて“価格”への対策は強化していた。
現在は次のフェーズに移り、楽天市場の執行役員である河野奈保氏が委員長を務める「品質向上委員会」が中心となり、サイト全体の品質向上に向けて取り組んでいるという。
2013年11月、「東北楽天ゴールデンイーグルス」の優勝を受けて「楽天市場」で開催されたセールで、複数店舗が、商品の元値をつりあげてセール価格を安く見せかけている(不当な二重価格表示)という疑惑が持ち上がった。これは景品表示法違反の「有利誤認」に当たる可能性があった。
楽天は11月11日に開いた記者会見でこれを認めた。調査で見つかった不当価格表示は17店舗、1045商品で、商品を購入したのは118人。代金の合計は46万9967円だった。楽天は対象店舗を1カ月停止させたほか、商品をキャンセルするユーザーに対して代金を現金およびポイントで補償した。
2014年4月には、不当な二重価格表示に関する社内調査の結果として、18人の従業員が合計28店舗に不当表示を提案していたことを公表。従業員がそれぞれ最初に提案した時期は、2010年以前が3人、2011年が6人、2012年が2人、2013年が7人だったという。
不当表示の主な提案方法は「電話」。対象者の所属や提案時期にバラつきがあることから、楽天は「組織的に行われたものではない」と説明していた。
当時の説明について、河野氏は「悪意をもって(二重価格表示を)指示したというのは、ほぼなかった。『関与していた』という曖昧な言葉で伝えたのは、色々なケースがあったから」と話す。
河野氏によれば、店舗にアドバイスをする“ECコンサルタント”が、店舗側から二重価格表示について相談された際、自分で判断がつかずに「問題ない」と言ってしまったケースや、(本来、二重価格表示自体は不正ではないが、)二重価格を設定するよう伝えたところ、店舗側が「不正を強要された」と勘違いしたケースなどがあった。
消費者庁によれば、二重価格表示には比較対照価格として、過去の販売価格、希望小売価格、競争事業者の販売価格など多様なものが用いられる。これらが事実にもとづいていない場合などに、不当表示に該当するおそれがある。
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