多数の人々がエボラウイルスの犠牲になっているなか、ロボット工学の専門家たちは、エボラウイルスを封じ込めるための戦いにおけるロボットの活用方法を、今後の数カ月間、そして数年間という単位で模索している。
エボラという言葉を聞くと皆、防護服や病院の隔離病棟を思い浮かべる。しかしカリフォルニア大学バークレー校工学部のKen Goldberg教授は、人間を危険にさらさずに済むよう、特定の作業をロボットに任せられないかと考えている。米ホワイトハウス科学技術政策局(OSTP)は、同教授のロボット工学に対する専門知識を買い、その他の大学やリサーチセンターといった3つの組織に属する研究者らとともに、この致死性の高い伝染病と戦うためのロボットの活用方法についてのブレインストーミングを実施するよう依頼した。
Goldberg氏は何よりもまず、医療関係の危機にロボットを利用すればすべての問題が解決するというわけではないとの点を明確にしておきたいと考えていた。
Goldberg氏は「人々はロボットを現場に投入すれば何か劇的な変化が起きるという期待を抱いている。しかしロボットの能力は現在のところ限られている。まだまだ調査すべき検討項目がたくさんある。このため、われわれは期待レベルを設定しておきたいのだ。ロボットによって大逆転が起こるわけではない。ただ、短期的、そして長期的な視点で有益となるとわれわれが期待しているツールがいくつかある」と述べた。
Goldberg氏によると、向こう3~6カ月という期間でエボラ出血熱の感染拡大を抑えるためにロボットを活用するという場合、少なくとも2種類の利用形態が考えられるという。
1つ目の利用形態は、カメラとディスプレイを搭載したテレプレゼンスロボットだ。これにより医師は患者に近づく必要なしに会話でき、患者の状態を目で確認できるようになる。このようなロボットは診察段階で役に立つはずだ。
カリフォルニア州サンタバーバラのInTouch Healthが製造しているテレプレゼンスロボットは既に、複数の病院に配備され、患者の診断に活用されている。しかし、これはエボラ出血熱に対して使えるものではない。
Goldberg氏は「患者の病状を診断するには、さまざまなところから微妙な情報を導き出す必要がある」と述べたうえで、「まったく違った角度から観察したり、患者の体のさまざまな部位に目をやる必要もある。また、何らかの診療行為を行う必要もある。ズームインしたり、できれば患者の体に触れて触診できるようにする必要もある。このため、研究すべき興味深い領域が数多くある。こういったことを遠隔地から行うには、どのようにすればよいのだろうか?」と語った。
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