知的ロボットの“目”を作る──キヤノンが4月に参入したマシンビジョン市場。キヤノンがカメラや事務機で培ってきたオートフォーカス(AF)技術に加え、画像認識技術や情報処理技術を活用した新たなチャレンジだ。
第1弾として、高速・高精度な3次元認識を実現する3D マシンビジョンシステム「RV1100」の販売を開始した。これは、ロボットアームと組み合わせて利用し、工場の生産ラインに部品を自動かつ高速に供給し、生産コストの低減や生産性の向上に役立てられるというもの。現在、自動車・自動車部品業界で高いニーズがあるという。
生産ラインで不規則に山積みされた部品をロボットアームが一つずつ正確に取り上げて次の工程に供給するには、部品の形状を3次元で認識する必要がある。RV1100はセンサ部分である3Dマシンビジョンヘッドと、認識処理を行う3D マシンビジョン認識ソフトウェアから構成される。3Dマシンビジョンヘッドは、プロジェクタとカメラが一体化したもの。メンテナンスは簡単で、「メンテナンスフリー。あえていうなら、工場はオイルミストが多いのでレンズを拭くぐらい」(キヤノン)と説明する。
RV1100は、パレット内に山積み、バラ置きされた状態の3D部品を認識し、ロボットアームを制御する。部品の認識から約2.5秒でロボットアームを制御するコントローラーにデータを送信できるため、スピーディーな部品供給が可能としている。
特長は、(1)多彩な部品を高速・高精度に3次元認識、(2)認識させる部品の登録が簡単、(3)部品の3D位置姿勢を一度に計測できる──の3点だ。部品の登録はCADデータの入力とバラ積み部品の撮影のみ(4.5時間)で済み、プログラミングは不要。そのため、設置やロボットの動作の作成時間を入れても13時間程度で、競合他社(平均64時間)と比べて約80%短縮できるとしている。
なお、このシステムはロボットがアームでパーツをつかむまでの動作を目的としたもので、つかんだ後の処理はまた別途システム側でプログラミングなどが必要になる。
現在の状況について「自動車業界を中心に、電機、金属機器、樹脂・化学メーカーなど、コンスタントに5~6台ぐらいの受注が来ている」としており、年末までに出荷ベースで30台の導入を見込む。
今後の課題は、より小さい部品を認識できるようになることだ。現在は45mm角相当以上となっている。「モノの認識精度だけでなく、扱いの簡易さはさすがキヤノンと言われる」と自信を持っており、販売目標は2017年にまで300台を目指す。
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