ソフトバンクロボティクスは9月20日、人型ロボット「Pepper(ペッパー)」の開発者向けイベント「Pepper tech festival 2014」を開催した。同日のキーノートでは、同社代表取締役の冨澤文秀氏が登壇し、ソフトバンクがロボットを手がける理由や、開発者向けの取り組みを語った。また、開発者向けに200台限定の先行販売の抽選予約も開始した。
Pepperは、周囲の状況に合わせて自ら行動する感情を持った人型ロボット。人の表情や声のトーンなどから感情を読み取り、その情報をネット上に蓄積。複数台のデータを集約するクラウドAIで学習する。スマートフォンのようにアプリストアが用意され、開発者はさまざまなアプリを提供できるようになる。
2015年2月に、税別価格19万8000円という破格の値段でPepperを一般販売するソフトバンク。冨澤氏よると6月の発表以降、同社のもとには企業や研究者、公共機関などさまざまな方面からの問い合わせが相次いでおり、反響の大きさを感じているという。なぜ、ソフトバンクはロボット開発に取り組むのか。冨澤氏は、社内でプロジェクトチームを作り、PCやスマートフォンに続く次のIT産業について全社員に対してアンケートを取ったところ、最も多く挙げられたのがロボットだったと話す。こうした未来をイメージさせるプロダクトは稀であり、「ロボットは約束された未来をもったプロダクトだ」と説明した。
また、CPUの高速化やパーツの低価格化、通信技術の発展や、クラウドの登場など、「ロボットへのファーストアプローチの条件が揃った」(冨澤氏)。さらに、ロボット開発会社である仏ALDEBARANとの出会いが決め手になったのだという。国内のロボット市場は2035年には10兆円まで成長すると予測する調査結果もあり、大きなビジネスチャンスがあると見ている。
冨澤氏は、現在のスマートフォンやタブレットは米国製や韓国製のものが多く、日本は存在感を示すことができていないと指摘。ただし、ロボットについてはスポーツでいう柔道のように“日本のお家芸”だとし、「絶対にこの分野で負けてはいけない」と力強く語った。
同社が描くロボットのいる未来とはどのようなものか。冨澤氏は、2020年の東京オリンピックの頃には、日本へ来た外国人が空港で全言語に対応したロボットから案内を受けられるようになり、店舗では好みや背格好から、個々に適した商品を提案してもらえるようになると語る。また、これから生まれる”ロボットネイティブ”の子供たちが、さらに次の世代のロボを作る可能性もあるとした。
「ドラえもんやガンダムは突然やってこない。未来にはいつもきっかけがあるからだ。そして、それは強い信念を持った人がどこかで無茶をして始める。さらに、その信念と夢を共有する仲間がいて、行動することで成長していく」(冨澤氏)。
CNET Japanの記事を毎朝メールでまとめ読み(無料)
ZDNET×マイクロソフトが贈る特別企画
今、必要な戦略的セキュリティとガバナンス
ものづくりの革新と社会課題の解決
ニコンが描く「人と機械が共創する社会」