少年ジャンプ副編集長に聞く「電子版」の狙い--ジョジョ新作や作家発掘も - (page 3)

ウェブから“ヒット作”生む「少年ジャンプルーキー」始動

 少年ジャンプ+の展開としてもう1つ注目したいのが、11月に本格始動する「少年ジャンプルーキー」。ウェブでマンガ作品を“持ち込める”サービスで、プロ・アマを問わず誰でも応募できる。投稿されたマンガは少年ジャンプ+アプリ内で一斉に公開され、すべてのユーザーが閲覧可能。編集部の目に止まった作品はスカウトを受け、優秀作品は少年ジャンプ本誌などでデビューできる。

  • 「少年ジャンプルーキー」

 同社では、投稿することで参加できる「ジャンプルーキー賞」を毎月開催する予定で、投稿作品のうちランキング上位10作品が候補作となり、ジャンプ編集部が審査でルーキー賞を選ぶ。「ゴールドルーキー賞」は賞金100万円と本誌への掲載、「シルバールーキー賞」はジャンプ NEXT!!での掲載と賞金30万円、「ブロンズルーキー賞」は少年ジャンプ電子版または少年ジャンプ+の連載枠と賞金10万円が得られる。

 少年ジャンプでは現在、編集部へのマンガの持ち込みと漫画賞の2つで新人作家を発掘しているが、「3つ目の柱としてデジタルでの投稿作品の中からヒット作を生み出したい」と籾山氏は意気込む。NHN PlayArtの「comico」や、DeNAの「マンガボックス」など、他のマンガサービスでも一般ユーザーからの投稿を受け付けているが、「プロのジャンプ編集部がしっかり育てる」ところが最大の差別化要因になると考えている。

真のターゲットは「ネット漫画ユーザー」

 2013年に配信したジャンプLIVEは、本誌のターゲット層と近い10代半ばに利用されていたが、少年ジャンプ+では(1)ジャンプを読まなくなってしまった社会人や、(2)ネットサービスでマンガやイラストに触れている人もターゲットにしているという。

 「週刊少年ジャンプ」電子版の支払いにはクレジットカードが必要なことから、現時点では社会人などある程度所得がある層がメインユーザーと考えている。ただし、「電子版のインパクトが強すぎて、無料マンガを読めることに気づいていないのかもしれない」(細野氏)ことから、サービスが普及するにつれて10代の読者が増えていく可能性はある。

 また、細野氏は「世間で話題になっている作品に、バッと近づく読者が増えている。そういう読者は、普段は気軽にネットなどでマンガを楽しんでいるのではないか」と分析。そうしたユーザーは今後さらに増えると見ており、将来的にスマートデバイスしか利用せず、紙自体に触れることがなくなる“スマホネイティブ”世代が読者になることを想定して、早い段階から“入り口”を作っておきたいという狙いもあるようだ。


 少年ジャンプ+では引き続き、読者のフィードバックを得ながら使用感の改善を続けるほか、今後も大幅な機能アップデートを実施する予定。また、無料マンガからヒット作を生み出すべく、11月末以降から定期的に連載陣を入れ替える予定だ。なお、少年ジャンプ電子版の2014年42号(9月13日発売)はしばらく無料で配信されているので、興味がある方は試しに読んでみてはいかがだろうか。

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