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編集記者のアンテナ

少年ジャンプ副編集長に聞く「電子版」の狙い--ジョジョ新作や作家発掘も

藤井涼 (編集部)2014年11月01日 08時00分
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 「集英社が少年ジャンプの電子版を始めた」――物心がついた頃から週刊少年ジャンプを愛読してきた筆者にとって、この上ないビッグニュースだった。これで時間や場所を気にせずに「ONE PIECE」や「暗殺教室」の最新話を、手元のスマートフォンやタブレットで読めるようになったのである。

 毎号発売日の朝5時から配信することも大きなポイントだ。紙の手触りやページをめくる感覚は代えがたいが、やはり3センチ近い厚さのある雑誌を鞄に入れて持ち歩くのは一苦労。朝ダウンロードした最新号をスマートフォンで読みながら通勤できるのは嬉しい。また、購入したバックナンバーをいつでも読めるのもデジタルならではの利点だろう。


週刊少年ジャンプ副編集長の細野修平氏(左)と、同編集部の籾山悠太氏(右)

 とはいえ、電子版を配信しているマンガ雑誌はまだまだ少ない。業界では最も発行部数が多いジャンプが、なぜこのタイミングで電子版の配信に踏み切ったのか。また、2013年に配信したマンガ雑誌アプリ「ジャンプLIVE」での経験はどう生かされたのか。週刊少年ジャンプ副編集長で少年ジャンプ+担当の細野修平氏と、同編集部で少年ジャンプ+を担当する籾山悠太氏に聞いた。

「ジャンプLIVE」でスキルが習熟--単号300円の理由は

 集英社は9月22日、新たなマンガ雑誌アプリ「少年ジャンプ+」(iOS/Android)を公開した。有料の「週刊少年ジャンプ」電子版と、無料で読めるオリジナルマンガの大きく2つで構成されており、本誌は引き続き紙で買って無料マンガのみを読むことも可能だ。ウェブ版も用意しており、スマートフォンやタブレット、PCなど幅広い端末からアクセスできる。公開からわずか3週間で累計100万ダウンロードを超えるなど、滑り出しは好調だという。

 同社は2013年に、ジャンプの“アプリ増刊”という位置づけで、初のマンガ雑誌アプリ「ジャンプLIVE」を公開した。ジャンプ作家の描き下ろし新連載やオリジナル動画、ミニゲームなどデジタルならではの表現に挑戦したほか、読者参加型のコンテンツも充実させた。少年ジャンプ+の配信にともないジャンプLIVEはサービスを終了したが、この経験が随所に生かされていると細野氏は語る。

 「制作メンバーのスキルが習熟したことで、原稿を校了してからデジタルファイルを作成するまでの時間が短縮され、印刷所や制作会社との連携もとれるようになった。また2013年の夏と、2014年の5~6月に試験的に電子版のサイマル配信をしたところ反響もあり、物理的な部分での自信がついた」(細野氏)。

 こうして電子版の配信を始めたが、ファンの間で物議を醸したのが単号で300円、定期購読で月額900円という価格。これは単号で買うと紙の本誌より高く、定期購読すると逆にお得になる設定だ。この点について細野氏は「やはり定期購読してもらいたい。1冊試しに買っていただくならこの価格(300円)でもありかなと思う」と認める。ただし、単に値段を上げるのではなく、毎号必ずカラー版を1話入れたり、デジタル壁紙などの特典を付与したりと、紙のジャンプにはない価値を加えたと説明した。

  • 「少年ジャンプ+」トップ画像

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  • 電子版では毎号カラー版を1話加えている

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  • 電子版の目次。作品名をタップするとすぐにジャンプできる

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  • 作者の目次コメント

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  • 次回予告

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  • アンケート画面

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 また、当初は各作品の最新話、つまりマンガ部分のみを配信していたが、多くの読者から目次コメントや次回予告、アンケート機能など、紙のジャンプではおなじみのコンテンツを求める声が寄せられたことから、これらも順次追加で実装した。特にアンケートについては「作品や作家を応援したいから対応してほしい」という要望が多く細野氏も驚いたという。

 それなら、最初から紙のジャンプを全て電子化すればいいと言う人もいると思うが、デジタルでルビ(漢字のふりがななど)を綺麗に読めるようにするには、たとえモノクロでもある程度のデータ量が必要になる。そのため今は「通信環境が悪い場所でもストレスなく読めるギリギリのライン」(細野氏)を探っており、本誌をそのまま電子化とまではいっていない。ただし、冒頭のゲーム情報などのカラーページなども、要望があれば電子化を検討したいとしている。

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