「ニュースの新しい読み方、楽しみ方」をテーマに新サービスの開発を競うハッカソン「新聞5紙 NEWS HACK DAY」が10月18日と25日、朝日新聞社メディアラボ渋谷オフィスで開催された。朝日、日経、毎日、読売、産経の全国紙5紙が共催したイベントで、49人の参加者が12チームに分かれ、各紙が提供したデータと素材をもとにそれぞれ特徴的なサービスを提案した。
開発期間は1週間。18日にテーマを決めたチームから取りかかり、25日の夕方に発表した。用意された賞は、新聞5紙がそれぞれ選ぶ優秀賞と、スマートニュース執行役員の藤村厚夫氏ら審査員が選ぶ最優秀賞の6つ。
最優秀賞を受賞したのは、親が子どもに読んでもらいたいニュースを選び、弁当箱に詰めるようにして毎日届けられるサービス「べんとータイムズ」。同時に毎日新聞社賞も受賞し、今回唯一複数賞を獲得した。
べんとータイムズは、ウェブの管理ツールとAndroidアプリで利用する。親はウェブの管理ツールから記事を選び、その記事にあわせた弁当の名前を決められる。本文の難しい漢字にはルビを振ることが可能だ。子どもがニュースを読むのが楽しくなるようにと、すべての記事を読み終えたあとに、事前に設定したメッセージを表示する機能も搭載した。
弁当を渡すには、Androidスマートフォン2台間でデータを送受信できる、非接触通信規格「NFC」を活用した機能「Android Beam」を使う。親と子どものスマートフォンやタブレットでアプリを起動し、2台を近づけることで、弁当を手で渡すようにデータを送信できる。
また、他の“親”が作った弁当を検索、閲覧できる「シェア機能」もある。「親同士で盛り上がったり、サービスを毎日使うモチベーションにつなげてもらうのが狙い」(開発メンバー)。
チームの代表を務めた保坂俊氏は、べんとータイムズを“ニュースコミュニケーションサービス”と説明する。「いま、親子関係が冷めていると感じる。ニュースを通じた親子のコミュニケーションを、子どもが幼いうちから図れたらいいと考えた。『毎日届けること』を大切な要素とし、親が子どもに毎日渡すものを考え、お弁当を思いついた」(保坂氏)。
審査員長の藤村氏は、「遠くにいる多くの人に情報を届けようとしてきた新聞に対し、べんとータイムズは、たった1人のために情報をバランスよく組み立てて、受け手のことを考えながら届けようとするもの。新聞とは対極的なアプローチで、ニュースの価値を再発見させるような試み」と評した。
「親が子どもを思い情報を一つずつ集める、というテーマはほんわかしたものだが、これが将来、あらゆる情報が誰か一人のために料理(編集)されるようになることを考えると、奥行きとミステリアスな部分があり面白い。答えが出尽くしていないアプローチ。社会に対する影響力が大きいと感じた」(藤村氏)。
審査員は藤村氏のほか、東北大学大学院情報科学研究科の准教授でスマートニュース技術顧問を兼任する岡崎直観氏、nanapi代表取締役の古川健介氏、グーグル シニアエンジニアリングマネージャの賀沢秀人氏、クリエイターでディレクターのTehu氏、AMF代表取締役の椎木里佳氏が務めた。
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