「ニュースの新しい楽しみ方」12個の新提案--新聞5紙共催ハッカソン - (page 2)

井指啓吾 (編集部)2014年10月28日 07時00分

 ここからは、当日発表された他11個のサービスを紹介する。

「すぐそこ!」

 ニュースで報じられた場所をGoogleマップ上に表示させる。ニュース記事を自動で解析して場所を特定しており、1日約300万ページまで対応可能。記事のどの部分が“場所”に対して重要であるかを重み付けして解析しており、たとえば「神保町で働く私が、青山一丁目で電車を乗り換えて、六本木で開催されるイベントに向かった」場合にも正確な場所(六本木)を特定できるという。

  • ニュースで報じられた場所をGoogleマップ上に表示

  • 画面イメージ

「まい速:ニュースサイトバイラル化計画」

 記事のタイトルをバイラルメディアや2chまとめサイト風に自動変換するサービス。「まい速」という名称は、毎日新聞の記事APIを使用していることから。ネガポジ判定APIを使い、記事のタイトルをいずれかに判別して変換している。不謹慎なタイトルが生成されるおそれがある。

  • 基本機能

  • 画面イメージ

  • 自動変換について

「Suggestr」

 理系学部に所属する男子学生が女子にモテるために開発したサービス。主に女子との会話中、話のネタに困った時に使う。アプリを立ち上げると、話のネタになりそうな記事が提案される。女子の反応を見て「ウケた、ウケてない」を選び、興味の分類を機会学習させることで、より精度の高い記事を提案できるようになる。なお、この機会学習の成功率は96%にのぼるという。

  • 「Suggestr」について

  • ウケたか、ウケなかったかを学習させていく

  • 会話の中でアプリを使っているところ

「CompaNews」

 スタッフ間での利用を想定した法人向けサービスで、べんとータイムズと同じく、メディアではなく「人」がニュースを届ける仕組み。他のスタッフに読ませたい記事にコメントを付け、相手を指定してシェアできる。相手の画面上では送信者のアイコンが小刻みに激しく震え、「読んでくれ」と訴える。提供価格や今後の展開も考えているという。

 日経電子版賞を受賞した。

  • 左が送信者の画面。右の受信者の画面にプッシュ通知が届いた

  • シェアされた記事にコメントを書ける

  • 今後の展開

「24」

 スマートニュースやGunosyは本当に皆さんの生活を幸せにしているか――と、ニュースキュレーション、パーソナライゼーションに意義を唱える法人向けサービス。位置情報を活用したマッピング、リアルタイムで表示する技術、テキスト要約技術を核としており、記事で報じられた出来事の場所が世界地図上に複数表示される。ニュースの新たな読み方として、オフィスの受付などにあるタッチスクリーンでの利用を想定している。

  • 開発チームからのメッセージ

  • 画面イメージ

  • 想定利用シーン

「ニュースアプリFLAT」

 方位センサを活用したサービス。スマートフォンを正面に構えて回転することで、それぞれの方角で話題の記事を閲覧できる。表示される記事の範囲は、世界から国、近所までを選択可能。スマートフォンを前後に振って「YES」、左右に振って「NO」を表すジェスチャ機能も搭載しており、ニュースに対する考えを発信できるという。


「NEWS LEAGUE」

 ゲームを通して記事を読めるサービス。フジテレビのバラエティ番組「ネプリーグ」の企画「トロッコアドベンチャー」の記事版と呼べそうなゲームで、ブラウザで動作する。ルールは、記事の穴埋めの箇所に入る正しい言葉を、制限時間内に2択から選ぶ。他の参加ユーザーがどちらを選んだのかがリアルタイムで確認できるようになっている。

 朝日新聞社賞を受賞した。

  • ニュースを普段読まない層に訴求する

  • ゲーム画面

  • 正解すると次の問題へ

「川柳亭新エ聞」

 記事内の単語を解析し、川柳を自動生成するサービス。本文内から抽出された言葉が五七五で並ぶ。たとえば、朝日新聞デジタルの7月31日の記事「物価上昇、賃上げ上回る 6月実質賃金、3.8%マイナス」が、「名目ねえ 1年前に 激減か」になる。川柳をクリックすると元の記事を読める。

 産経新聞・産経デジタル賞を受賞した。

  • オリジナルキャラクターも

  • 川柳の表示画面

  • クリックして元の記事を表示

「OnAir」

 ニュースを深く知ることを目的としたサービス。Twitterで盛り上がっているキーワードをもとに、話題のニュースをヘッドライン(見出し)として掲載。関連する話題の最新記事や数値情報、ツイートなどを表示する。パブリッシャーが統計情報などを編集できるような仕組みも考えている。「ここを見ていれば常に最新の情報が追える、本当に“OnAir”されている状態を作りたい」とチームリーダーの正木貴大氏は話した。

  • 想定ユーザー層

  • OnAirの仕組み

  • 画面イメージ

「モウカルニュース」

 日頃のニュースが経済に与える影響をわかりやすく示すサービス。過去の記事データから投資テーマやニュースの関係性を分析したり、投資テーマとキーワード、銘柄の関係をデータベース化したりする。ユーザー間で各テーマの予測情報を共有できる機能もあり、集合知を活かした、初心者でも適切な投資ができるようになるサービスを目指すという。

 読売新聞東京本社メディア局賞を受賞した。

  • 各テーマの予測情報を共有できる

  • テーマごとの関連銘柄を表示

  • 株価情報はAPIを活用

「今日のパン」

 「パンに書かれたヘッドラインニュースを、食べながら味わいます。ニュースは栄養!」をキャッチコピーとして、ニュースの「記事」とパンの「生地」を掛けた、ニュースの書かれたパンを3Dプリンタで出力するサービス。iBeaconを活用したもので、ユーザーがIDなどをサーバ経由で店舗に送信すると、それをもとに店舗側が記事データベースから3Dプリンタを使ってニュースの書かれたパンを出力する。

 記事の出力は、テキストをPNG画像に変換したものをSTLに変換し、さらにGCodeに変換。そのデータをPCからArduinoに送信し、モータを制御するという。

  • アプリの画面

  • サービスの仕組み

  • 記事のテキストを3Dプリンタで出力するまでのデータの流れ

  • 出力待ちの画面

  • 完成したパン。発表時には3Dプリンタが用意できず、手書きとなった

  • 3Dプリンタで出力するためのパン粉

 藤村氏はイベント後、当日発表された12サービスについて「ニュースを楽しく、軽めに読ませる工夫はどのチームも行き届いていた。その一方、報道の裏に何があるのか、情報の発信源までさかのぼって知りたいという欲求に応えるようなプロジェクトはあまりなかった」と述べ、開発の傾向として「記事APIを通してサービスを加工していくプロジェクトには、話題を深く掘り下げる欲求が表れにくいのではないか」と指摘した。

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